蚊が媒介「日本脳炎ウイルス」 発症後の致死率20~40% 涼しくなり蚊の活動も活発になると要注意

AI要約

福岡県内でブタが日本脳炎ウイルスに感染、注意喚起。

日本脳炎ウイルスに感染すると脳炎や死亡のリスクがある。

予防接種が重要で、接種漏れにも注意が必要。

蚊が媒介「日本脳炎ウイルス」 発症後の致死率20~40% 涼しくなり蚊の活動も活発になると要注意

福岡県内で飼育されているブタが、蚊の媒介により人に感染する「日本脳炎ウイルス」に感染していたことが分かり、県は注意を呼びかけている。

県によると2024年8月5日、県内で飼育されているブタ10頭を調査したところ、10頭全てが日本脳炎ウイルスに感染していたことが判明した。日本脳炎ウイルスは「コガタアカイエカ」という蚊が、感染したブタを刺したあとに人を刺すことで人にも感染する。

日本脳炎ウイルスに感染してしまうとどんな危険性があるのか?

福岡市の『しんどう小児科』の進藤静生院長は「日本脳炎は名前が“脳炎”。ウイルスが脳の方に行く。意識障害が出たりとか、けいれんが起こったりとか、熱が高くなったりとか、最悪の場合は亡くなる方もいらっしゃる」とその恐ろしさを語る。

発症後の致死率は高く、20~40%に上るが、進藤医師は「予防接種さえしてればまずは心配ない。一般的に95%以上防ぐことができると言われています」とワクチン接種によって感染リスクを大きく下げることができると話す。

日本脳炎は予防接種法で定期接種の対象となっている。

合わせて4回のワクチン接種が必要で、国が示す標準的な接種スケジュールは、3歳で2回、4歳で1回、9歳で1回となっている。ただし3歳未満で感染した例もあることから、県内では生後6カ月以上であれば、希望すればいつでも初回の接種を受けることが可能だ。「早めに接種する方がいいと思って6カ月過ぎた子どもには勧めています」と進藤医師は話す。日本脳炎の対策は現状、予防接種しかないのだ。

また「接種漏れ」にも注意が必要だ。接種漏れについては特に注意が必要な年代がある。ひとつめは1995年から2007年生まれ。2005年から数年間は、旧ワクチンから現状のワクチンに切り替わるタイミングで、厚生労働省が接種の積極的な推奨を控えていたためだ。ふたつめは2024年の小学校1年生と6年生。2021年にワクチンの供給不足が起きたため、未接種の可能性があるのだという。

進藤医師は「母子手帳で接種歴が分かる。もし接種していない人がいたら、すぐにでもされた方がいい」と勧める。

季節が進み、もう少し涼しくなると、蚊も大量に出て来るうえ、活動も盛んになる。そのため、さらに注意が必要となって来る。夏のイメージがある蚊だが、アカイエカが好む温度帯は実は20度から30度なのだ。夏が終わるこれからの季節がまさに蚊の活動期のピークとなる。

県内で日本脳炎の感染が最後に確認されたのは2012年。しかし全国では毎年5人前後の感染が報告されている。

県は特に外で活動するときは皮膚の露出を避けて虫よけスプレーを使うなど蚊に刺されないよう注意を呼びかけている。

(テレビ西日本)