「公務員ほどよい仕事はない」って本当? 会社員と公務員の「生涯年収」を解説
中高生のなりたい職業ランキングでも、上位に入ることの多い職業が「公務員」です。民間企業と比べ高額で安定した収入を得られると人気があります。
しかし実際、民間企業と公務員とでは、生涯年収にいくらくらい差があるのでしょうか?
そこで今回は、民間企業と国家公務員・地方公務員の生涯年収の違いを比較してみます。
生涯年収の簡単な計算方法は、2種類です。
例えば全年齢を合わせた平均年収に勤続年数を掛けることで、おおよその生涯年収が割り出せます。ほかにも、年代別の平均年収に、それぞれの年代の勤続年数を掛けて足す方法があります。
今回は、全体の平均年収を用いて、生涯年収を計算してみましょう。
国家公務員・地方公務員・民間企業それぞれの生涯年収を、4年制大学を22歳で卒業してから60歳の定年まで38年間勤務したと仮定してご紹介します。それぞれ発表している媒体が異なり、給与額の内訳に若干の差が出るため、参考程度にはなりますが、比較してみましょう。
■国家公務員の生涯年収
国家公務員の生涯年収は人事院の令和4年国家公務員給与等実態調査を基に算出します。国家公務員の中でも最も人数の多い「行政職(ー)」の生涯年収を計算しました(表1)。
表1
※人事院「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」を基に筆者作成
「平均俸給額」とは民間企業でいう基本給の平均のことで「平均給与月額」とは、俸給額+諸手当(残業代などの所定外給与や通勤手当など実費弁償的な手当を除く)のことです。なお、ボーナスは令和4年の国家公務員のボーナス4.4ヶ月分で計算しています。
計算の結果、国家公務員の生涯年収は約2億3600万円となりました。
■地方公務員の生涯年収
地方公務員の生涯年収は、総務省「地方公務員給与実態調査」の大学卒業の一般行政職を基に計算します(表2)。
表2
※総務省「地方公務員給与実態調査」を基に筆者作成
なお「平均給料月額」は民間企業の基本給と同等です。「平均給与月額(国比較ベース)」は、国家公務員の平均給与月額と同様の内容となっています。地方公務員のボーナスは、地域によって異なりますが、国家公務員同様に民間企業の支給状況に合わせることとなっているため、同じように4.4ヶ月分で計算しています。
生涯年収は国家公務員よりも2000万円ほど低い、約2億1600万円となりました。
■民間企業の生涯年収
民間企業の年収は、厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査で企業規模が10人以上の会社の平均値を基に計算します(表3)。
表3