「ラーメンの匂いがとれません」汁をこぼされ、スマホとイヤホン故障 店に修理費を請求できる?

AI要約

相談者は、ラーメン屋の店員にラーメンをひっくり返され、スマートフォンとワイヤレスイヤホンが故障。修理費用を請求したいと考えている。弁護士によると、やけどの治療費全額は請求可能であり、スマホやイヤホンの修理費は契約保険がない場合に限り請求できるが、本来の売却価格を超えない。過失相殺が適用される可能性もある。

ラーメン屋側が支払いを拒否する場合は、裁判等が必要かもしれない。被害者が自らの落ち度がある場合、賠償額は減額される。弁護士は、謝罪文などを証拠として賠償請求を進めることを勧めている。

櫻井俊宏弁護士は、企業法務・交通事故・相続・離婚問題を得意とする弁護士であり、被害者の権利をしっかりと守る姿勢を見せている。

「ラーメンの匂いがとれません」汁をこぼされ、スマホとイヤホン故障 店に修理費を請求できる?

「ラーメン屋の店員にラーメンをひっくり返され、スマートフォンとワイヤレスイヤホンに汁がかかって故障してしまった。修理費用を請求できないか」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は、ひっくり返されたラーメンの汁によってやけど。さらに、ポケットに入れていたスマートフォンとイヤホンにも汁がかかってしまったのです。スマホは充電に不具合が発生し、イヤホンの片耳がほとんど聞こえなくなってしまいました。また「スマホケースからラーメンの匂いがとれない」とも。

相談者は、スマートフォンとイヤホンの修理費用の全額を請求したいと考えていますが、ラーメン店からは、謝罪文と迷惑料として1万円を渡されただけでした。

相談者は、1万円という金額に満足していませんが、修理費用全額の請求は可能なのでしょうか、櫻井俊宏弁護士に聞きました。

●1万円超の賠償請求はできるのか?

――やけどの治療費を請求することは可能でしょうか。その場合、金額は全額となりますか

この事例のように、迷惑料1万円等で済ますことが多いと思われますが、それはあくまで両者の法的合意を前提にしています。被害客の方で納得がいかなければ、粛々と賠償請求を進めるべきです。

ラーメン屋の店員自らの不注意によるものであれば、被害客は、不法行為(民法709条)として、相当額の損害賠償を請求できます。本事例の場合は、謝罪文の内容次第では、その謝罪文を証拠として請求しやすいです。

スマートフォンやイヤホンに関しては、自分の契約している保険がおりないようであれば、負担した修理費を請求することができます。ただし、それらの本来の売却価格(時価)を超えない範囲のみ請求できます。

やけどに関しては、治療費全額を請求できるのが原則です。

ただし、例えば、被害者がイヤホンをしていることにより、丼を渡していることに気が付かないことが原因で丼がひっくり返った等、被害者に落ち度がある場合には、過失相殺(民法722条)といって、過失(不注意)の割合で、これらの賠償額が減額されます。

いずれにしろ、ラーメン屋が法的主張を理解して支払ってくれればよいのですが、支払ってもらえない場合は裁判等をしなくてはならず、大変なことではあります。

【取材協力弁護士】

櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士

企業法務・交通事故・相続・離婚問題等を得意としている千代田区・青梅市の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。中央大学の法律顧問(法実務カウンセル)を担当している。応援団出身であり現在監督。「弁護士 ラーメン」と検索すると自身のラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン通。

事務所名:弁護士法人アズバーズ

事務所URL:http://as-birds.com