夏バテ防止にタコが良い理由 意外に知られていない栄養とは

AI要約

タコは低カロリーでありながら栄養価が高く、夏に旬を迎えるマダコは特に身が締まって歯ごたえと旨味が絶妙。

タコにはタウリンやビタミンB2、ビタミンE、亜鉛といった栄養素が豊富に含まれており、暑さによる体のバテを支える効果がある。

特にタウリンは老廃物の除去を助けるほか、ビタミンB2やビタミンEは健康維持や抗酸化力の向上、亜鉛は新陳代謝に関わることから、積極的に摂取すると良い。

夏バテ防止にタコが良い理由 意外に知られていない栄養とは

 寿司ネタや刺身、たこ焼きなど、日本人になじみがあるタコ。タコといってもさまざまな種類がありますが、夏が旬のマダコは身がぷりぷりと締まっていて、歯ごたえと旨味が絶妙です。定番すぎてあまり意識しないかもしれませんが、タコは低カロリーながら栄養価が高い食品。厳しい暑さが続き、体がバテぎみのこの時期に、摂取しておきたい栄養成分が含まれているのだとか。意外に知らないタコの栄養について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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 タコは世界に約200種類いるといわれていますが、食用とされているのはごく一部です。日本では古くからマダコやイイダコ、ミズダコなどを食用にしていますが、海外では「デビル・フィッシュ」と呼ばれ、タコを食べない国のほうが多いです。

 夏に旬を迎え、おいしさが増すのはマダコです。日本食品標準成分表2020年(八訂)によると、100グラムあたりのエネルギーは、生が70キロカロリー、ゆでたものが91キロカロリーと低エネルギーです。そのうえ、カリウムやナトリウムなどのミネラル、良質なたんぱく質が豊富に含まれています。

 厳しい暑さが続くこの時期、タコが良いとされるのは、主に次のような栄養メリットが理由に考えられます。

○タウリン

 カキやシジミなどの貝類に多く含まれることで知られていますが、タコにも豊富にあるアミノ酸のひとつです。老廃物の除去を助ける働きによって、肉体疲労や眼精疲労の回復が期待され、栄養ドリンクや目薬などの成分として知られています。

 また、肝機能を高める効果や、血液中のコレステロールや中性脂肪を抑える働きも認められています。暑さで消耗した体力の回復はもちろん、お酒のおともにも良いでしょう。タコはゆでた状態で流通することが多いですが、タウリンは水溶性なので、栄養メリットを考えれば生のほうが良いといえます。

○ビタミンB2

 ビタミンB2が豊富な食品というと、ウナギやレバーが知られていますが、タコにも多く含まれています。たんぱく質や脂質、炭水化物などすべての代謝に関わり、とくに脂質のエネルギー代謝には欠かせません。

 また、皮膚や粘膜の健康を維持する働きもします。疲れやすくバテやすい夏には、積極的に取り入れたい栄養素のひとつです。タウリンと同じように水に溶ける性質なので、生で食べるほうがより摂取できます。

○ビタミンE

 抗酸化力がとくに強いことで知られている栄養素です。細胞を活性酸素の害から守る「若返りのビタミン」ともいわれ、体をストレスから守る働きや老化を抑える効果があります。毛細血管を広げて血行を改善し、夏に起こりやすい動脈硬化を予防するなどの効果が期待できます。

○亜鉛

 古い細胞を分解し、新しい細胞を合成する新陳代謝に関わる、体作りには欠かせない栄養素のひとつです。汗の中に多く含まれているため、発汗に伴い体外へ排出されます。そのため、亜鉛が不足すると肌荒れや免疫機能の低下、味覚障害、貧血などが起こる可能性も。発汗量が多い夏は意識して摂取しましょう。