フリーアナ川口ゆりさん「男性の体臭が苦手」で契約解除は妥当なのか?【「表と裏」の法律知識】

AI要約

フリーアナウンサーの川口ゆりさんが男性の体臭についての投稿で契約解除された事件について。

川口さんの言葉が男性差別と受け取られる可能性について。

今回の事件から性的な表現に対する考察。

フリーアナ川口ゆりさん「男性の体臭が苦手」で契約解除は妥当なのか?【「表と裏」の法律知識】

【「表と裏」の法律知識】#247

 フリーアナウンサーの川口ゆりさんがXにおいて、「夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」などと、男性の体臭をめぐる投稿をしたことにより、所属事務所から契約を解除されたことが話題になっています。この投稿には一定数の「いいね」がある一方、「工事現場や外回り営業で働いている人は1日に何度もシャワーなんて入れない」などの批判が集まりました。

 川口さんの投稿は、特定の者の名誉を傷つける内容ではないので名誉毀損にはあたりませんが、男性(の一部)を差別する表現とも受け取れるかもしれません。あえて例は挙げませんが、女性に置き換えて同様の表現をしたらどうなるかをお考えいただければわかりやすいかもしれません。男性アナウンサーがそれをやったら、おそらく今回の投稿以上の大炎上になっていたのではないでしょうか。

 一方で今回の契約解除は妥当だったのでしょうか。

 性的な差別表現といっても濃淡があります。差別的な表現は許されないとしても、その表現に対して一律に重い処分をすることとなると、異性の体臭にすら言及できなくなるなど性的な表現に萎縮が生まれてしまうでしょう。

 とはいえ、フリーアナウンサーの川口さんには知名度があり、その発言には注目が集まりやすいと思います。なおかつハラスメント研修業もしているとのことなので、性的なハラスメント発言をすれば、いわゆる「ブーメラン」をくらう立場にあります。今回の発言は、そのような立場や背景の前提がありながら、特定の層の賛同を得られると思って少し過激な発言をしたものだと思いますので、ウカツだとの非難は免れないでしょうし、委任契約解除事由にも当たってしまったのでしょう。

 注目を得ようとする行為は、同時にリスクも大きいことを肝に銘じなければならないですね。

(髙橋裕樹/弁護士)