たばこ休憩はズルい? 企業が悩む禁煙対策、“1本でも吸ったら悪”ではない共存の行方「喫煙者をいじめたいわけではない」

AI要約

たばこのにおいに対する敏感さが高まり、喫煙問題が顕在化している。

完全禁煙を進める企業も増えているが、一方的な対策では社員間の分断を生む可能性もある。

神鋼環境ソリューションの禁煙取り組みが成果を出しており、他社も学ぶ余地がある。

たばこ休憩はズルい? 企業が悩む禁煙対策、“1本でも吸ったら悪”ではない共存の行方「喫煙者をいじめたいわけではない」

 “スメハラ”という言葉が一般化し、においに敏感になった昨今。とくにたばこのにおいは文字通り“鼻につく”ものとして、職場でも嫌われている。吸わない人からは「たばこ休憩はズルい」という見方もあり、社員の禁煙を促進する企業も増えた。ただ、喫煙者からの反発もあり、分断を生んでしまう可能性もある。企業としては頭の痛い社員の喫煙問題。どのように解決するのがベターだろうか?

■コンビニや公園に喫煙社員が殺到、急激な“完全禁煙”が生んだ弊害

 公共施設などを原則禁煙とする改正健康増進法施行から4年が経過し、よりいっそう禁煙への意識が高まった。街の喫煙所はどんどん少なくなり、「敷地内禁煙」や「就業時間内(外)禁煙」などを謳う企業も増えている。とはいえ、すべての企業が完全禁煙にできるわけでもなく、吸わない人から「たばこ休憩はズルい」「くさい」といった不満がいまだ上がり続けている。

 では、一刀両断に完全禁煙を成し遂げれば問題は片付くのかというと、そうでもない。社内に吸う場所がなくなったせいで、近隣のコンビニや公園で喫煙する社員が殺到…という弊害が生まれたこともあった。このご時世、ある程度の喫煙制限は必至であり、喫煙者・非喫煙者それぞれの反発をなだめながら、対策することが求められている現状だ。ただ、あまりに一方的な施策では、ヘタをすると社員同士、企業と社員の間の分断を生みかねないこともあり、なかなかに頭の痛い問題だろう。

 そんななか、ある企業が禁煙にまつわる取り組みで成果を出しつつある。兵庫県・神戸市に本社を置く、神鋼環境ソリューションという企業だ。同社は神戸製鋼グループの一つである、大手環境プラントメーカー。禁煙への取り組みは2018年頃から着手をしていたが、強化したのは2023年度。保健師である立石さんが旗振り役となって、推進しているのが特徴だ。

 「もともと社内喫煙率は23%と、そこまで高いわけではありませんでした。ただ、疾病などによる労働損失を集計すると、治療や手術で長期休職を余儀なくされる方が年間で数名はいる状況。私は保健師として社員の健診結果を見て指導することもあり、心筋梗塞や肺がん、糖尿病などで無念な思いをする方を多く見てきました。原因はたばこばかりではありませんが、たばこが体によくないことは喫煙者もわかっています。自身の健康のため、『いつかやめたい』と考える方の後押しやきっかけにしてもらえたらと思い、活動を始めました」(立石さん)