他の人のアイデアは自分で考える前に聞くべき?それとも考えた後に聞くべき?実はその<順番>が重要だった

AI要約

「メタ認知」とは、認知を高い視点からさらに認知することを指す。これは自分の頭の中にいて、冷静かつ客観的な判断をしてくれる<もうひとりの自分>のことであり、脳のパフォーマンスを最大限に発揮するための重要な能力である。

ブレインストーミングでのグループ活動は発想を活性化させるが、個人の発想量の伸びを把握することは難しい。個別に行う発想力トレーニングが重要である。

日常の問題解決に役立つ「柔軟な原因推理」の重要性を強調。問題に直面した際、原因を柔軟に推理し、他の可能性も考えることが重要である。

他の人のアイデアは自分で考える前に聞くべき?それとも考えた後に聞くべき?実はその<順番>が重要だった

「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「メタ」とは「高次の」という意味で、つまり認知(記憶、学習、思考など)を、高い視点からさらに認知することを指します。三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授によれば「メタ認知は自分の頭の中にいて、冷静で客観的な判断をしてくれる<もうひとりの自分>。活用次第で頭の使い方がグッとよくなる」だそう。先生の著書『メタ認知』をもとにした本連載で、あなたの脳のパフォーマンスを最大限に発揮させる方法を伝授します!

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◆他の人がどんなアイデアを思いついたのか知るのは大切だけれど

ブレインストーミングによって、発想が活性化することは先に述べましたが、グループで行うブレインストーミングでは、グループ全体の発想が豊かになったとしても、個人の発想量の伸びをきちんと把握することはできません。

また、他の人がどんなアイデアを思いついたのかを知ることは大切ですが、先に人の考えを聞いてしまうと、どうしてもそれに影響されてしまい、自分で徹底的に考えることをしにくくなる可能性もあります。

したがって、自分の発想力そのものを高めるためのトレーニングは、やはり個別に行う必要があります。

そこで私たちは、他者の考えに触れる機会を確保しつつ、個人の発想力を高めるトレーニング法を開発しました*1。

◆「柔軟な原因推理」は日常の問題解決に役立つ

まず自分で、これ以上は無理というくらいまで考えた後、「他の人は、こんなことを考えましたよ」と、他者の考えをいろいろと呈示する方法です。ここでは、出来事の原因を柔軟に推理するという課題を用いました。

原因推理を問題としたのは、日常の問題解決に役立つからです。

私たちが何か問題に直面し、それを解決しようとする時、まずは、なぜそうした問題が起こったのかという原因をさまざまな面から柔軟に考えてみる必要があります。

たとえば、「いつもと同じようにカレーを作ったのに、今日はおいしくない。なぜだろう?」といった場合に、その原因を「きっと、カレー粉が足りないせいだ」と決めつけたなら、カレー粉をどんどん追加して、いっそうまずくなってしまうかもしれません。

もっと他の原因も考えてみるべきでしょう。たとえば、具材が古かったのかもしれない、鍋を替えたからかもしれない、しばらくカレー料理が続いて飽きてしまったからかもしれない、など。