意外な食材にも?「食物繊維」を管理栄養士が解説!美容・健康にも重要です
食物繊維は水溶性と不溶性に分けられ、腸の働きを助けるだけでなく血糖値やコレステロールの調整にも役立つ。
食物繊維には水溶性食物繊維や不溶性食物繊維、さらには発酵性食物繊維があり、それぞれ異なる効果・働きがある。
食物繊維の不足は腸の健康や生活習慣病の予防に影響し、摂取量の目標は30代・40代女性には1日18g以上が推奨されている。
「不足しがちな栄養素」と聞いて真っ先に思い浮かぶもののひとつが「食物繊維」。管理栄養士の宮崎 奈津季さんに、食物繊維について解説してもらいました。
まずは食物繊維が、どんな働きをするか(便秘解消だけではないんです!)。 次に、不足しがちな食物繊維を効率的に摂るにはどうしたらいいかを学んでいきましょう! 食物繊維習慣、取り入れていきたいですね。
こんにちは、管理栄養士の宮崎 奈津季です。健康な生活に欠かせない食物繊維ですが、腸の働きを助けるだけでなく様々な作用があります。とり方とあわせてご紹介します。
♦️食物繊維とは?
食物繊維は、炭水化物の一種。人間の消化酵素で消化されない成分です。排便をスムーズにする働きやさまざまな生理作用があり、近年注目されています。食物繊維の種類はいくつかあり、大きく分けると水溶性と不溶性に分けられます。
♦️水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
「水溶性食物繊維」は、水に溶ける性質があります。水分を吸収してふくらみ、食べた物の胃の滞留時間を長くする働きがあります。また、吸収に伴う血糖値の上昇がゆるやかになったり、コレステロールの吸収が抑えられ体外に排出されやすくしたりといった効果が期待できます。
果物類、海藻類、葉物野菜などに多く含まれます。
「不溶性食物繊維」は、反対に水に溶けません。摂取することで腸を刺激し、ぜん動運動を促進させます。また、便のかさを増やして排便を促すことで、腸内環境を改善して便秘の予防に役立ちます。
大豆・豆類、きのこ類、根菜類、穀類などに多く含まれます。
♦️近年注目されている「発酵性食物繊維」
食物繊維は消化されずに大腸まで届きますが、一部の種類は大腸で腸内細菌によって発酵・分解されて、短鎖脂肪酸などに代謝されることが近年分かってきました。このような食物繊維は「発酵性食物繊維」と呼ばれることがあり、腸内環境の改善に効果が期待されています。
発酵性食物繊維は、大麦やオーツ麦(オートミール)、バナナ、キウイ、さつまいも、ワカメなどに含まれています。
♦️食物繊維はなぜ必要なの?
食物繊維は、正常な排便を促し腸内環境を整えることで、腸の病気の予防に役立ちます。また、水溶性食物繊維は、血糖値の上昇をゆるやかにしたり、コレステロールの吸収を抑制する働きから、糖尿病や脂質異常症の予防・改善にも効果が期待できます。
食物繊維が不足すると、腸内環境が悪くなり、便のかさが増えないことにより便秘になってしまうことがあります。また、摂取量が少ないと生活習慣病の発症率が高くなることが分かっており、健康面にも影響を及ぼします。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、生活習慣病予防のための目標量が設定されており、30代・40代女性では1日あたり18g以上となっています。