夫の機嫌を常にうかがう妻。「支配を愛情だと思い込んでいたんです」原因は、まだ耳慣れないモラハラ【マニュピュレート】

AI要約

モラハラ夫によって巧妙に操作され孤立してしまった妻M子さんのお話。

マニピュレーターとしてのモラハラ夫の特徴や行動パターン。

モラハラ被害者が直面する心理的支配や孤立化の問題。

夫の機嫌を常にうかがう妻。「支配を愛情だと思い込んでいたんです」原因は、まだ耳慣れないモラハラ【マニュピュレート】

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。自分を大切にしてくれ、本当に優しい人だから結婚をしても幸せになれると信じていたのに、結婚した途端に優しい姿が全て嘘だったとわかり苦しんでいる女性がたくさんいます。

モラハラだとわかっていても、経済的理由や子どもの養育の問題、夫のモラハラが治り優しくなってくれるかもしれないという期待から離婚を決断できない方が多くいます。離婚を決意しても、実際に離婚の手続きを進めようとすると夫から拒否をされ調停や裁判にまで発展し、次第に心を病んでいってしまいます。モラハラの闇はとても深いものです。そんなモラハラについて長年に渡りカウンセリングを続けてきた私なりの対策をお伝えしています。

今回は妻の味方のふりをして、いつの間にかモラハラ夫に心理操作をされ孤立してしまったM子さんのお話です。

結婚前は本当に優しかったとモラハラ夫のことを皆さんが口を揃えて言います。M子さんの夫ももちろんそうでした。

『結婚当初から、「M子、君の味方は僕だけだ。他の人は君の本当の気持ちなんてわかってくれないよ。」夫のその言葉は、初めは甘い愛情表現のように感じていました。私はその言葉を信じ、夫の愛に包まれていることに安心していたのです。仕事で疲れて帰宅した時、同僚の愚痴を夫に言うと「だから言っただろう。君の味方は僕だけなんだから。」と私を抱き締めてくれました。私は夫にこんなに愛されている、夫以外の人は私の敵なんだと思い込んでしまい、その日をきっかけに夫以外の人と付き合うことを避けるようになっていったのです。次第に夫の言葉が私の生活を支配し、私は会社でも友達付き合いをしなくなり、結局仕事も辞め個人的に誰とも連絡を取らなくなりました。』

怒鳴ることをせずに巧妙に人をコントロールする人のことを、モラハラ加害者を分類するときに「マニピュレーター」といいます。マニピュレーターとは元は心理学用語で、相手を精神的に支配したいという欲求が異常に強い人のことです。暴力や激しい言葉を使わずに、支配し、周囲の人間関係を断ち切らせることができます。

【マニュピレーターの特徴】

1. 巧妙な操作

言葉巧みに他人を操り、自分の意図通りに行動させます。直接的な命令を避け、質問形式や提案の形で相手を操作します。

2. ガスライティング(※)

妻が考えていることを全て否定し、自信を失わせます。「それは君の思い違いだよ」「そんなことはなかったよ」などと言って、妻の記憶や感情を否定します。

3. 罪悪感を利用する

妻に罪悪感を抱かせることで、自分の要求を通します。「君がそんなことをするから、僕はこうなるんだ」というように責任転嫁がとても上手です。

4. 外面は良い

初対面では非常に親切で魅力的な人物に見えてしまうのです。周囲から最初はいい人と思われますが、親密になると徐々に本性を現します。

5. 依存を作り出す

妻を自分に依存させるために、周囲との関係を断ち切るように誘導します。「君には僕しかいない」「他の人は君を理解しない」という言葉を巧みに使います。

6. 支配的な行動

妻の行動や人間関係をコントロールしようとします。誰と会うか、何をするか、どこに行くかなどをしつこく聞いてきます。

7. 豹変する態度

優しかったのに、突然冷酷になるなど、態度が急激に変わります。妻はこの変動に混乱し、自分が悪いのではないかと思い込んでしまいます。

8. 責任転嫁

自分の過ちや失敗を決して認めず、他人にのせいにします。「君がこうしたからこうなったんだ」というように、自分に責任はないと主張します。

9. 冷酷さと共感の欠如

他人の感情や苦しみに対して共感を示さず、冷酷な態度でいます。自分の利益のためなら、他人を傷つけることも平気です。

マニュピレーターは、人を操作することが本当に得意なのです。

※編集部注「ガスライティング」:相手に自分の常識や考えは間違っていると思い込ませ、精神的に追い詰める心理的虐待の一種。