慰謝料を払うのは誰?DV夫から逃れたくて妻が不倫…からの「煮え切らない結末」
DV夫が妻の浮気相手と直撃したラブホテル事件で慰謝料請求を行ったが、どうなったかを解説。
妻はDV夫から逃れるために上司と恋に落ち、離婚を決意。DV夫は暴力を認めながらも離婚を望まず別居続行。
DVに苦しむ妻と子供たちの心情がにじむ内容。
こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
【DV夫がラブホテルに直撃】した地獄絵図事件を解説します。(東京地裁 R4.12.15)
DV夫が、妻と浮気相手がラブホテルから出てくるところを直撃したんです。そして、妻の浮気相手に対して慰謝料請求しました。
DV夫から逃れたくて職場の上司と恋に落ちた妻に同情したい気持ちがありますが……。DV夫の慰謝料請求は認められたのでしょうか。
以下、わかりやすく解説します。
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
▼ DV夫
年齢不明
▼妻
・年齢不明
・H16に結婚 → R2に離婚
・子ども
長男 H18生 14歳
長女 H22生 10歳
▼妻の不倫相手(以下「Y男」)
・年齢不明
―― 奥さん、上司のY男との出逢いは?
妻
「パートとして働き始めた会社で知り合いました。はじめは数人のグループでLINEをしたり食事をしたりするくらいの関係でしたが、夫と別居を開始してからは2人きりで食事に行く関係になりました。夫との離婚についてY男さんに相談していました」
―― なぜ、離婚したいと?
妻
「夫のDVです……」
―― どんな暴力を受けていたんですか?
妻
「首をつかまれ投げ飛ばされたのが初めて受けた暴力です。あとは、顔を殴ってきたり、頭を壁に打ちつけたりしてきました。鼻骨骨折や頚椎を捻挫したことがあります……」
―― クソヤローですね……。
そのあと妻は2人の子供を連れて家を出ました。
別居後、2人の話し合いの場がもたれました。
その場で夫は以下の発言をしています。
【 判決文より引用】
「この間ね、手を上げたってことに関しては、それは」
「こっちがね、悪いということで、それは、もう、本当に申し訳なかったと」
「それに関しては僕も悪かったなと思っている」
「そのときは、もう『出ていけよ』くらいのことを言ってたと思います」
「この間の暴力は、それはこっちが悪いから」
「お酒を飲んで手を出した訳じゃないと思います。朝だったから」
「そんなに、しょっちゅう暴力しているわけじゃないのよ」
話し合いの中で夫は「離婚したくない」と言い出したため、当面の間、別居を続けることになりました。DVヤローってホント自分勝手ですよね。