自民・石破茂氏が「選択的夫婦別姓制度」導入に意欲…旧安倍派議員らとガチンコ対決勃発か

AI要約

石破氏が選択的夫婦別姓制度を支持し、旧安倍派議員らとの対立が激化

夫婦別姓制度導入に賛否が分かれ、議論が続いている背景

石破氏と安倍氏の対立から自民党内での論争が深まる可能性

自民・石破茂氏が「選択的夫婦別姓制度」導入に意欲…旧安倍派議員らとガチンコ対決勃発か

「いよいよ旧安倍派議員らと本気でガチンコ対決する気らしい」

 9月末に行われる予定の自民党総裁選を控え、同党の石破茂元幹事長(67)に対して党内の一部議員からこんな声が出ているという。

 石破氏が7月29日のBS-TBS番組に出演した際、保守系議員から反対の声が根強い選択的夫婦別姓制度の導入について、「やらない理由が分からない。選択的な夫婦別姓を認めていくことは日本にとって必要だ」「夫婦が別姓だと家庭が崩壊する、というよく分からない理屈がある」などと踏み込んだためだ。

 選択的夫婦別姓制度は、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を称することを認める制度だ。

 法制審議会(法相の諮問機関)は1996年に選択的夫婦別姓の導入を答申。最高裁は、夫婦は同姓とする民法の規定は合憲との判断を示しつつも、導入に向けた国会議論を求めているのだが、自民党内では「家族の一体感が失われる」「旧姓の通称使用の拡大で対処すべきだ」といった反対意見が多くみられ、いまだに議論が深まっていないのが実情だ。

 一方で、女性の社会進出に伴い、最近の世論調査では同制度の導入に賛成する割合が増加。職場で旧姓使用を認める企業も増えていて、経団連(日本経済団体連合会)は6月、政府に対して制度導入に必要な法律の改正を早期に行うよう求める提言書を提出。これを受け、自民党も7月18日に3年ぶりとなる党内議論を再開させた。

 こうした流れから、石破氏の発言は至極当然とみられるのだが、それがなぜ、旧安倍派議員らとのガチンコ対決になるのか。

■安倍氏は「夫婦別姓は家族の解体を意味」「家族の解体が最終目標」と発言

 実は石破氏が「よく分からない理屈」とバッサリ切り捨てていた「夫婦別姓だと家庭崩壊する」と近しい発言をしていたのは故・安倍晋三元首相だ。2016年2月29日の衆院予算委で、現立憲民主党幹事長の岡田克也氏(71)が当時の安倍首相に向かってこう発言している。

「(安倍)総理が野党時代の発言を紹介したいと思います。夫婦別姓の問題ですね。総理は、夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマです。こういうふうに発言されていますね。これはどういう意味ですか」

「これは『WiLL』という雑誌の平成22年7月、そのときの対談ですね。自民党の何人かの議員が対談しておられる中での総理の発言なんですよ。こういう考え方で夫婦別姓というものを考えていれば、我々は選択的夫婦別姓、法案も国会に出していますが、そういうことについて頭から、もうイデオロギー的にだめだということですか」

 これに対し、安倍氏は「私は家族の価値を重視する保守党としての自民党の考え方を恐らく述べたものであろう、こう考えるわけでございます」と答弁。明確な説明を避けていたわけだが、少なくともこのやり取りを読む限り、石破氏の言う通り、夫婦別姓の導入がなぜ、「家族の解体」につがなり、それが「左翼的かつ共産主義のドグマ」となるのかサッパリ分からない。

「女性の権利を尊重しないといけない時に(結婚後に)女性が姓を変える方が圧倒的に多い。別姓でいけることを法的に担保するのは大事なこと」

 石破氏は番組でこうも強調していたが、裏金事件の舞台となった旧安倍派議員らとのガチンコ対決の行方は……。

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