トイレや風呂はなんとか自力で行けているが、痛くてもう限界【ひどい腰痛も8割治る】

AI要約

86歳の男性が腰痛で苦しんでいたが、特殊な治療法で徐々に改善し、1年後には完全に良くなった。

脊柱管狭窄症と椎間板変性症の診断を受けた男性は、運動と治療を続けることで徐々に症状が改善していった。

運動と血流促進が重要であり、患者さんの理解と協力が治療の成功につながった。

トイレや風呂はなんとか自力で行けているが、痛くてもう限界【ひどい腰痛も8割治る】

【ひどい腰痛も8割治る】#26

「2カ月前あたりから腰が徐々に痛みだし、いまは500メートルを歩くのもやっと。トイレや風呂はなんとか自力で行けていますが、限界かも……」

 富山在住の86歳の男性が、車イスで来院されました。話を伺うと、記憶にある最初の腰痛は40代の頃。重い荷物を持ち上げた時、腰に痛みが走り、しばらく我慢していたら、いつのまにか自然に痛みも消えたとのこと。

 7年前には腰痛で地元の整形外科を受診。椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症と診断され、体内に金属のインプラントを取りつける手術を受けたそうです。現在は血圧降下剤を常用しています。

 このように私たちのところに来られる高齢の患者さんには、若い頃や働き盛りの頃に腰を痛め、そのあとは生活に支障がない程度になっていたのが、ある日突然、まるでサブマリンが海上に浮き上がるように、強い症状として現れたという方がかなりいます。

 さっそく診断を開始。普通にしていると問題ないのですが、後屈をすると左臀部からヒザまでの痛みやしびれが出てくることがわかりました。MRI撮影で、主病名は脊柱管狭窄症で、副病名は椎間板変性症との診断結果に。

 そうして4カ所の患部を特定し、特殊なジェルを針により充填するセルゲル法を実施したところ、施術して数カ月で痛みが減少。ただ、患者さんが希望するレベルまではまだ達していないとの報告でした。

 それでも辛抱強く、1日2キロの歩行、ストレッチ、週1回のマッサージを続けてくれました。半年が過ぎた頃には「痛みが消えた。95%くらい良くなった感じがする。とてもうれしい」とご報告をいただけるまでに回復されたのです。

 そして施術から1年経った今、症状は全くなく、「腰痛だったとは思えない。満足度は満点!」と、とても喜ばれています。

 引き続き1日2キロ歩行、入浴後のストレッチ、足踏み200回を実施されているとのことで、今後も血流を促す努力を継続していただくようお願いしたのでした。

 この患者さんのように、なぜ治っていた腰痛がまた現れ、悪化したのかは、患者さんの生活スタイルや事情によりさまざまな理由が考えられるため、「○○○だから、こうだ」といったひとつの明確な答えを出せません。

 ただ言えることは、腰痛の緩和には血流を促し、天然のコルセットである筋肉を維持することが非常に重要。ですから、ある程度の運動は腰痛対策において外せません。

 この患者さんの場合、ひとえに運動に対する理解も親和性もあったことが幸いしたのでしょう。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)