山形・秋田で豪雨災害続出…異常気象続きなのに防衛費8兆円に比べて防災予算が少なすぎる!

AI要約

山形と秋田で記録的な豪雨が発生し、河川氾濫や土砂崩れなどの被害が出ている。

異常気象が続き、豪雨や酷暑が各地で発生している。防災予算が過少であるとの指摘もある。

防災予算の不足や組織の分散が災害対策に影響を与えており、効率的な予算の使い道や組織の再考が必要だ。

山形・秋田で豪雨災害続出…異常気象続きなのに防衛費8兆円に比べて防災予算が少なすぎる!

 またしても豪雨災害で人的・物的被害が出てしまった。停滞する梅雨前線の影響で、25日から記録的な大雨に見舞われている山形、秋田両県では、最上川など複数の河川が氾濫し、土砂崩れも起きた。山形県には線状降水帯も発生した。

 気象庁は山形県内の一部市町村に25、26日と2度にわたって大雨特別警報を発表。3市町が2万世帯超に警戒レベルが最も高い緊急安全確保を発令した。パトカーが洪水にのまれた山形県警の警察官など28日までに死者2人、行方・安否不明4人。住宅などの浸水被害は両県で1000棟近い。警報級の大雨は30日ごろまで続く恐れがあるという。

 今夏の異常気象は例年以上だ。多くの地点で40度近い酷暑が続くだけでなく、毎日のようにゲリラ豪雨があちらこちらで発生。各地で警戒が高まっている。

■内閣府の防衛部門はたったの73億円

 ところがである。これほど豪雨災害への備えが必要になっているのに、政府の防災予算は驚くほど少ない。本来、司令塔となるべき内閣府の防災部門の今年度の予算は、たったの約73億円だ。しかも、「土砂災害・水害等の災害時における避難対策等の推進」予算は、前年度の5200万円から4600万円に減額されている。

 もちろん、国交省などの予算にも公共事業関係費として災害対策費は計上されている。それでも全省庁のありとあらゆる国土強靱化関係予算(防災とは無関係なものも含む)を積み上げても今年度は約5兆円だ。

 防衛費に約8兆円、5年間で43兆円投じる計画と比べても少なすぎる。国民の生命・財産を奪うという点では防災予算こそ、もっと分厚くすべきだろう。

「シン・防災論」の著者でジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。

「線状降水帯を分析するスーパーコンピューターを気象庁が購入したのは昨年3月です。線状降水帯による被害は10年近く前から深刻になっていたのに、ようやくでした。防災予算は全体の金額が少ないだけでなく、いくつもの省庁にまたがっているため、効率的に使えていない。内閣府に集中させるなり、『防災省』を作るなりして、予算と組織を一元化する必要がある。毎年のように豪雨災害の被害が出て、同じことを繰り返している」

 岸田首相は山形、秋田について「万全の対応を行う」と強調していたが、事が起きてから予備費を注入するイタチゴッコをいつまで続けるのか。

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