#共同親権 なぜ? 親の離婚後、母、妹と引き離され、一度も会えないまま大人になった──42歳男性のケース

AI要約

共同親権を導入する改正民法が2024年5月に可決、2026年に施行予定。父母の合意や家庭裁判所の決定により共同親権か単独親権かが決定。すでに離婚済みの人も適用。

導入には専門家から疑問が呈され、課題が多い。親権の案件は個別であり、今後の共同親権導入に対する思いを考察。

離婚時の親権は父母のどちらかが持つが、離れた子どもとの面会権は存在。個人の体験から共同親権導入を考えるヒントに。

#共同親権 なぜ? 親の離婚後、母、妹と引き離され、一度も会えないまま大人になった──42歳男性のケース

共同親権を導入することになった改正民法は2024年5月に可決、2026年に施行の見通しとなった。以後は父母の協議により共同親権か単独親権かを決定、合意できない場合は家庭裁判所に決定を委ねることになる。すでに離婚している人も適用対象だ。

可決までに衆参を通して細かい議論が尽くされたとは言いがたく、この導入には弁護士をはじめ医療、教育、福祉関係者など専門家からもさまざまな疑問が呈されていて、今後の課題は多いとされる。

親権をめぐる案件で同じケースはひとつとしてないが、そもそも親の離婚後、従来の単独親権のもとにおかれた子たちは、どんな思いを抱えて大きくなったのだろうか。当事者から話を聞いた。親子の関係や距離感は人によって違うが、今後の共同親権導入について考えるヒントになるかもしれない。

ちなみに現状では離婚の際、親権は父母のどちらかが持つことになっているが、親権を持たず子どもと離れたときでも、子と面会交流する権利は存在する。

両親の離婚後、まったく母親に会えないまま大人になったショウタさん(42歳)。自身も二児の父になった今なお、実父の気持ちがわからず、ときどき苦しくなると話す。

「両親が離婚したのは僕が10歳ころでした。母は優しい人だった。ただ、地方の堅苦しい家で義両親と同居するのは大変だったと思います。よく祖母に何か言われては泣いていました。実母はもともと東京の人だったから、自由のない田舎暮らしはつらかったんじゃないでしょうか」

「おとうさんとおかあさんは離れて暮らすことなった」と、ある日、学校から帰ると突然、父に言われた。すでに母の姿はなく、5歳違いの妹も一緒に消えていた。

「おまえは長男なんだからこの家を守っていくんだと吹き込まれました。何がなんだかわからなかった。母代わりになった祖母は気分の浮き沈みの激しい人で、祖父はほとんどアルコール依存。朝から酒を飲んで暴れることもありました」