違和感を見逃さないで!早期発見が難しい〈食道がん〉の前兆、サインとは?医師が解説

AI要約

食道がんは初期症状がほとんどなく、早期発見が難しいがんの一つである。症状が現れるときにはがんの進行具合が進んでいる可能性が高いため、定期的な検査が重要である。

食道がんの前兆やサインには、嚥下障害、胸がしみる感覚、体重減少、胸や背中の痛み、嗄声などが挙げられる。これらの症状が現れた場合は、早めに専門医療機関を受診することが重要である。

食道がんの自覚症状が現れた時には、既に進行している可能性があるため、定期的な検査や自己チェックを行うことが大切である。

違和感を見逃さないで!早期発見が難しい〈食道がん〉の前兆、サインとは?医師が解説

初期症状がない場合がほとんどである食道がん。早期発見が難しく、がんが大きくなる、あるいは他の臓器に転移し発見される場合が少なくない食道がんの前兆やサインについて、医師が解説します。

■食道がんとは

咽頭(のど)から胃につながっている管状の臓器を食道といいます。

胃や大腸などと同じく食道にもがんができることがあり、食道にできる悪性腫瘍が食道がんです。

食道のどの部分にもがんはできる可能性がありますが、半数は食道の中央付近に発生するといわれていて、主に60~70歳の男性で発病率が高いがんです。

食道は内側から外側に向かい粘膜層・固有筋層・外膜・リンパ節から構成されていて、食道がんは食道の内側を覆っている粘膜から発生し、がんが進行していくと食道の外側へ広がっていくのが特徴です。

食道壁からがんが広がり、周りにある気管や大動脈などにも広がる可能性がありますし、リンパ管や血管にがん細胞が侵入すると、肺や肝臓などの他臓器へ転移する場合もあります。

食道がんの主な原因は、喫煙と飲酒といわれており、熱いものを好んで食べたり飲んだりする習慣がある方は、食道がんができる危険性を高めるという報告があります。

食道がんにおいては、初期症状がない場合がほとんどであり、病変の早期発見が難しく、がんが大きくなる、あるいは他の臓器に転移し発見される場合が少なくありません。

■食道がんの前兆やサインとは?

食道がんは、発生してすぐの頃には自覚症状がない場合がほとんどです。

がんが進行していくと自覚症状が徐々に現れ、自覚症状が出てきた頃には、がんが進行している可能性が高く、ほかの臓器へ転移している場合もあります。

初期の段階で発見するためには、定期的な検査を行うことが大切です。

食道がんになると、代表的な症状として、嚥下障害、胸がしみるような感覚、体重減少、胸や背中の痛み、嗄声(させい)などの兆候やサインがみられることがあります。

嚥下障害とは、食べ物を飲み込む際にのどや食道に食べ物がつっかえたり、詰まったりする感覚がありうまく飲み込めない状態であり、がんによって食道が塞がれてしまうため、食べ物が通れなくなることで起こります。

嚥下障害の症状は、がんがまだ小さい段階では起こりにくく、がんが進行している場合にみられる症状です。

また、口から入った食べ物が食道を通っていく際に、胸の奥がちくちくする・熱いものを飲み込むとしみると感じることがあり、これらのサインも食道がんの初期段階にみられる症状のひとつです。

がんが大きくなると食道の内側が狭くなり、食べ物がつかえやすくなるため、やわらかい食べ物しか通らなくなり、食事量が減って、栄養が不足するため体重が減少していきます。

ひとつの目安として、およそ3ヵ月で5~6kg程度の体重が減少した場合は、食道がんについて、注意する必要があります。

がんが食道の組織から出てしまい周りにある肺・脊椎・大動脈を圧迫すると、胸や背中の痛みを感じるようになり、この症状は食道がんでもみられる症状のため、食道も適切に検査してもらうことが重要です。

また、嗄声(させい)とは、声がかすれる症状のことであり、食道の近くには声を調整する反回神経があり、食道がんが周りのリンパ節に転移すると、反回神経は麻痺するため脳からの刺激を伝えられなくなります。

そのため、声を出す声帯が機能しなくなり声がかすれたり、声が出にくくなったりしますので、注意が必要です。

■まとめ

これまで、見逃してはいけない食道がんの前兆、サインなどを中心に解説してきました。

食道がんは初期段階では自覚症状がなく、気付きにくいがんです。

症状を自覚するようになった頃には、進行している可能性があります。

定期的に検診を受けることや自覚症状に早く気付くことで、早期発見・早期治療が可能です。

食道がんは発生した初期の段階では自覚症状がなく、発見が遅くなる場合があるため注意が必要です。

症状に気付いた時にはかなり進行している場合も少なくありませんので、内視鏡を使った検査やがんを特定するための精密検査を行うことも視野に入れて、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。

ライター/甲斐沼孟(医師)