X1300万回閲覧超の物議沸騰「奈良公園の鹿を蹴り飛ばす来園者」インバウンドで増加のトラブル実態を聞いた

AI要約

奈良市を訪れる外国人観光客の数が急増している中、奈良公園で暮らす鹿が暴力行為を受けているという報告があり問題が浮上。

外国人観光客と鹿のトラブルが増加しており、鹿が不適切な食べ物を与えられたり、鹿が来園者を噛む事故が増えている。

県庁は鹿に暴力行為を行うことは許されないと強く主張し、人間と鹿の共生を検討している。

X1300万回閲覧超の物議沸騰「奈良公園の鹿を蹴り飛ばす来園者」インバウンドで増加のトラブル実態を聞いた

 神社仏閣が街中の至る所にあり、歴史を感じさせる古都・奈良。奈良駅から車で10分ほどの距離にある奈良公園で暮らす鹿は、その希少性から国の天然記念物にも指定されている。

「2022年に奈良市を訪れた外国人観光客は18.7万人と前年の3倍以上。コロナ禍が明けたことで奈良を訪れる外国人観光客の数は増えています」(夕刊紙記者)

 地元はインバウンド需要に沸いているのかと思いきや、現在、国の天然記念物である奈良公園の鹿を巡っては大きな問題が起きている。

「外国人観光客と見られる男性が、奈良公園付近で暮らす鹿を歩道上で執拗に蹴り飛ばしている姿が話題になっています。7月22日にX(旧ツイッター)上へと投稿された動画の中には、1300万回以上閲覧された投稿もあり大きな注目を集めました」(前同)

 この投稿が話題になるや、X上には《鹿がいじめられている》《鹿を舐めてると角で突かれるぞ》といったコメントが書き込まれた。

 そこで弊サイトは、奈良公園で暮らす鹿が公園来場者から暴力行為を受けているのかを探るべく、奈良公園の管理事務所を電話で聞いた。

「今まで公園内で来園者の方が鹿をいじめていたという通報は受けたことがありません。園内で起きた鹿に関するトラブルで多いケースがあるとすれば、園内で販売されている鹿せんべいに関するものです。

 購入した鹿せんべいを鹿へと渡そうとして、外国人観光客の方がケガをしたというケースはよく聞きます。日本人の方は鹿がやってくると素早くせんべいを手放しますが、外国人の方は鹿になかなかせんべいを渡さず、鹿を焦らして遊びがち。すると怒った鹿が、外国人観光客に向かって突進したり、膝を噛んだりという事故は起きがちです」(奈良公園・管理事務所の担当者)

 外国人観光客にとっては予想外と言えそうな奈良公園内で暮らす鹿による反撃。慌てた外国人観光客の中には自身の身を案じ、奈良公園内にある『シカ相談室』へと駆け込む者も少なくないという。奈良県庁・奈良公園室の担当者が答える。

「鹿に噛まれたが“狂犬病の心配はないのか?”と相談に来る方が最も多いですね。実際には、鹿は狂犬病を持っていないので、問題は起こらないんですけどね。

 鹿と人間の間で起きた人身事故の発生件数自体は増加傾向にあります。23年度に園内で起きた人身事故は105件。その内、外国人の方が絡むものが57件。22年度は事故の全体件数が69件で外国人の方が関係した事故は12件。コロナが明けたことで訪日外国人観光客の来園者数が増え、事故件数もぐっと増えた印象です」(奈良県庁の担当者)

 他にも様々なトラブルが来園者と鹿の間では起きているという。

「鹿せんべい以外の物は鹿へと渡さないでと伝えているのですが、お菓子やパンクズなどの食べ物を与えてしまうという方は良く見かけます。それ以外ですと、来園者が園内で鹿を追いかけ回すといった事例は聞いたことがありますね」(前同)

 しかし、現在SNS上で話題を呼んでいる様な来園者から鹿への暴力行為が園内で見掛けられたことは今までにもないという。今回の件に関して県庁へとはどのような意見が寄せられているのだろうか。

「県内外の方からは“こんなん許して良いのか”“日本人の文化を損なうような行為を許して良いのか”という意見は寄せられました。我々としては、天然記念物である奈良公園の鹿をどのように扱うべきなのか。いかに人間と共生させるのか、というのを考えていければと思っています」(同)

 間違いなく言えるのは、鹿を何度も蹴り飛ばすなんて行為は絶対に許されるものではない、ということだろう。