間違いだらけの断熱住宅。マンションでも効果あり⁉この酷暑を乗り越えるために、環境学教授が教える断熱の基本とは

AI要約

断熱工事は暑い地域でも効果的であり、エアコンや冷房に頼らず健康的な環境を提供できることが重要です。

建築環境学の教授である宿谷昌則さんが自宅マンションの断熱工事を通じて、断熱の重要性を実感しました。

都市部での断熱住宅は空間の最大活用や真の快適性を追求する手段として注目されています。

間違いだらけの断熱住宅。マンションでも効果あり⁉この酷暑を乗り越えるために、環境学教授が教える断熱の基本とは

住宅の断熱工事は寒いエリアで効果的、というイメージをもっていませんか?外からの熱を遮断する断熱、実は都市の記録的な暑さにも効果的なんです。冷房やエアコンだけに頼ることなく、クリーンな空気と共に過ごせる健康的な環境は、そこで長い時間を過ごす人にとって最も大切な条件です。

建築環境学の教授であり、自身も自宅の断熱工事を行った環境学の教授、宿谷昌則さんに、断熱住宅の必要性について教えていただきました。

建築環境学の教授である宿谷昌則さんは、2009年に神奈川県の住宅地にある自宅マンションをリノベーションし、断熱工事を行いました。

宿谷さんが断熱工事を考えたきっかけになったのは、3カ月間滞在したデンマークでの経験があります。北欧の冬は凍えるほどの寒さですが、断熱がしっかりしているので家のなかは暖かい。その快適さは専門家である宿谷さん本人だけでなく共に過ごした家族も実感していたといいます。

「帰国してからしばらくして妻がいったんです。『どうして日本の冬はデンマークより暖かいのに、家のなかは向こうより寒いの?』って。断熱は目に見えない効果ですが、一度体感すればその心地よさは確実に伝わるのだな、と思いました」と宿谷さん。

その奥さまの言葉もあって自宅の断熱工事を決意。以前は4LDKだった間取りを、広々とした一室空間のLDK+個室というプランに変更。断熱材を天井と壁に施し、床には床暖房、開口部にはペアガラスを取り入れました。

「以前より格段に家が広くなったように感じます。前は暖房を入れると、早く温まるように部屋のドアを閉じていたのですが、今は室温が保たれドアを閉める必要がなくなった。いつもオープンで開放的です」

広い敷地を得ることが困難な都市部に暮らすなら、空間を最大限に活用したいもの。しかし、寒い・暑いからという理由で物置と化した個室ができたり、冷暖房を常に入れるリビングでばかり過ごしてしまったり、家を使いきれていない例もよく耳にします。

家の規模が大きくなるほど、温めるのも冷やすのも時間がかかり、このような状況に陥りがち。「坪単価も高い都市部で、使わない部屋があるのは本当にもったいない。省エネやエコロジーの面だけでなく、真の快適性を得る手段として断熱住宅を考えてほしいです」