倉田真由美さんが明かす夫の最期「昏睡状態から目覚めた夫、握り返してくれた手」

AI要約

2024年2月16日、漫画家の倉田真由美さんの夫である叶井俊太郎さんがすい臓がんで永眠。倉田さんが夫の最期の様子を綴り、夫婦の会話を紹介。

倉田さんは夫が意識を失い、医師から「夜明けまで持たない」と告げられる。義妹も駆けつけ、二人で夫の側に座り見守る。

義妹のポジティブな言葉で勇気づけられた倉田さんは、最期まで夫を支える決意を固める。

倉田真由美さんが明かす夫の最期「昏睡状態から目覚めた夫、握り返してくれた手」

 2024年2月16日、すい臓がんにより永眠された叶井俊太郎さん(享年56)。妻で漫画家の倉田真由美さんが、夫の最期の刻を克明に綴るエピソード。昏睡状態に陥った夫の側でまんじりともできず夜を明かし――。そして、夫婦が最期にかわした会話とは。

漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。お笑い芸人マッハスピード豪速球のさかまきさん原作の介護がテーマの漫画『お尻ふきます!!』(KADOKAWA)ほか著書多数。

夫の叶井俊太郎さんとのエピソードを描いたコミック『夫のすい臓がんが判明するまで: すい臓がんになった夫との暮らし Kindle版』 『夫の日常 食べ物編【1】: すい臓がんになった夫との暮らし』は現在Amazonで無料で公開中。

 2024年2月15日深夜、夫は急激な状態悪化で医師を呼び、その後意識を失いました。医師からは「夜明けまでもたない」との宣告。私は夫の荒い呼吸音を聞きながら、夫の妹に連絡をしました。

 深夜2時は過ぎていたと思いますが、玄関のチャイムが鳴りました。義妹の到着です。

「俊ちゃん、どう?」

 部屋に上がり、意識のない夫の顔を見た義妹が聞きました。

「血圧が計れないほど低くて…医師にはあと数時間、朝まで保たないって言われた」

 義妹と話している時、私は泣いていたのか涙が枯れていたのかあまり記憶がありません。でも義妹が来てくれたこと、夫の側に一緒にいてくれることを心強く感じていたことは覚えています。

「そんなことないでしょ。今までだって大丈夫だったんだから」

 義妹がきっぱり言いました。彼女は家族の中で一番夫に似ていて、思考は思い切りポジティブです。

「そうだよね。まだ死なないよね」

「うん、死なないよ」

 彼女の言葉は私を勇気づけてくれました。しばらく二人で夫の側にいて様子を見ながら話していましたが、やることもないので彼女にはとりあえず別室で寝てもらうことにしました。