夏本番、プール中も熱中症リスク 5月に授業前倒しの学校も 専門家「陸より注意」

AI要約

週末にかけて西~東日本の広い範囲で梅雨明けが見込まれ、日本列島はいよいよ夏本番を迎える。

教育現場では熱中症対策として水泳の授業を前倒しで終了させる取り組みが行われている。

プール内では中性水温以上でじっとしていても体温が上昇し、熱中症リスクが高まる。

夏本番、プール中も熱中症リスク 5月に授業前倒しの学校も 専門家「陸より注意」

週末にかけて西~東日本の広い範囲で梅雨明けが見込まれ、日本列島はいよいよ夏本番を迎える。すでに熱中症による死者や搬送者が相次ぐ中、子供たちを預かる教育現場でも対策が講じられている。水泳の授業を例年より早くスタートさせ、前倒しで終わらせるという取り組みだ。水温が一定より高いと水の中にいても熱中症のリスクがあり、専門家は「陸上での活動よりも注意が必要」と呼び掛けている。

■今週でプール授業終了

毎年のように酷暑に見舞われる地域として知られる京都市。御所南(ごしょみなみ)小学校では今年、プール開きを例年より1週間早め、5月下旬に実施した。

学校側によると、5月中のスタートはこのところはなかった対応。今年も夏場は危険な気温が見込まれるなどとして、教員らから「暑さが本格化する前に水泳の授業を完了させたほうがよいのではないか」とする提案が事前にあり、採用した。

同小のプールは校舎4階の屋内にあり、天候に左右されずに必要分の授業をこなすことができたことも後押しとなり、今月19日をもって今年度の水泳の授業を完了する。

■「温泉で泳いでいる状態」

プールでの熱中症リスクは、どの程度なのか。

「鈴の木こどもクリニック」(東京都品川区)の鈴木博院長によると、そもそもプール内ではゆっくり泳いでいても安静時の4倍以上の代謝量になる。さらに、水中で安静にしているときに体温が上がりも下がりもしない水温「中性水温」(33~34度)以上だと、じっとしていても体温は上がっていくため、「温泉で泳いでいるのと同じ状態」になるという。

鈴木院長は、プール特有の症状として、①水に触れているため汗をかいている感覚を得にくい②口の中が水でぬれているため喉の渇きを感じにくいーと指摘。「陸上の運動では自覚しやすいものが、はっきりとは感じられないということ。その意味では、むしろプールに入っているときのほうが熱中症の危険が高いといえるかもしれない」と警鐘を鳴らす。

日本スポーツ振興センターによると、平成29年度までの5年間に全国の小中学校で起きたプールでの熱中症は179件あり、このうち半数は授業や部活動などの「水泳中」(水泳直後を含む)に起きた。