都知事選で出現した「R」シール、選管「特に対応することはない」も…都庁「条例に抵触する可能性が」

AI要約

東京都知事選挙で小池百合子氏が3選を果たす結果となった。

候補者支持者が都内にシールを貼りまくる疑惑が持ち上がっている。

都の条例に抵触する可能性があり、未許可の広告物は行政指導や罰則の対象になる。

都知事選で出現した「R」シール、選管「特に対応することはない」も…都庁「条例に抵触する可能性が」

 史上最多の56人が立候補した東京都知事選挙は、現職の小池百合子氏が290万票を超える得票数を獲得し、3選を果たす結果となった。選挙期間中は動画サイトやSNSを駆使した選挙活動が旋風を起こした一方、選挙ポスターにまつわる問題が続出し、大きな議論を呼んだ。さらに、ここにきて選挙終了後にも新たな問題が。ある候補者の支持者が、都内の街中にシールを張ったのではといった疑惑が持ち上がっている。こういった行為に法的な問題はないのか。東京都や都の選挙管理委員会に話を聞いた。

 投開票日から一夜明けた今月8日、駅の柱や道路中央の表示灯などに「R」というアルファベットを記したシールが張られている様子を「都民ファーストの会」幹事長の尾島紘平都議がSNS上に投稿。候補者の実名を挙げた上で「陣営は、街中に貼りまくった『R』のシールを早急に剥がしてください」「やり口は暴走族やピンクチラシと同じですが、普通に犯罪だし笑えません。私が新宿駅付近で確認しただけで30ヶ所以上、都内各地でやっている可能性があります。演説妨害の件も然り、モラルが無さすぎる。街の景観を汚すな」と警告した。

 投稿は2万3000件以上のリポストを記録しており、他のユーザーが同様のシールについて指摘する投稿も多数確認されている。SNS上では候補者の支持者と見られるアカウントがシールを紹介する投稿も確認されており、一連の投稿には「結構貼ってある」「予想以上に大ごとになってんのなw」「採集しておきたくなってきた」「連帯責任だと思う」「関係なくても何か動きは見せた方がいい」など、候補者陣営への疑惑の声も上がっている。

 10日に渋谷駅周辺を訪れてみると、実際に「R」というシールが駅前広場の壁や市街図、案内標識など複数箇所に張られているのが確認できた。現場には多くの人が集まっており、人目につきやすい場所を中心に張られている印象だ。

 都の選挙管理委員会はENCOUNTの取材に「こちらで把握している情報はなく、特に対応することはない」と回答。都庁都市整備局の担当者は「個別の事象については回答を控える」としたうえで、都の屋外広告物条例を念頭に、「道路標識やガードレールなどに対してステッカーや張り紙といった広告物を表示することは例外を除いて禁止されています。そのため、もし無断で張っているものがあるとすれば、条例に抵触する可能性があります」と指摘した。

 また、実際にステッカーなどが確認された場合には「通常は行政指導で自主的にはがしていただく形になります。それでも従っていただけない場合には、行政措置命令、最終的には罰金と罰則の規定もあります」と説明。シールを張った人物だけでなく、その団体のリーダーや指示役が同様の処罰を受ける可能性については「個別具体的な話はお答えできないが、行為者と指示役が実際にその違反行為に対してどういう関わりを持っていたかが判断材料になる」と話した。

 都の屋外広告物条例には違反者への30万円以下の罰金、第70条には法人の代表者や法人、違反者の代理人に対する両罰規定などが明記されているが、屋外広告物の許可や取り締まりの権限は区市長にあり、実際に行政措置命令や罰則にまで発展したケースは都内では聞いたことがないという。

 選挙期間中の先月21日には一部の候補者が掲示板に不適切なポスターが掲載、警視庁から迷惑防止条例違反に基づく警告を受け、撤去する事件もあった。今回の騒動は今後どのような展開を迎えるのか、注目が高まっている。