関東在住ですが、先日東北へ旅行にいったときガソリンが2円ほど安くて驚きました!なぜ地域差があるのでしょうか?

AI要約

ガソリン価格には地域差があり、製油所からの輸送コストや地域事情、需要や販売量による価格転嫁などが影響している。

輸送距離が長いほど輸送コストがかかるため、製油所から遠い地域では価格が高くなる可能性がある。

地域特有の事情や需要によってもガソリン価格は異なるため、一概に「高い」「安い」と総括することはできない。

関東在住ですが、先日東北へ旅行にいったときガソリンが2円ほど安くて驚きました!なぜ地域差があるのでしょうか?

旅行や出張などで遠出するとき、ガソリン補給のために立ち寄ったスタンドで、ガソリン価格が異なることに気づく場合があります。

実はガソリン価格には地域差が存在します。「ある地域がほかの地域よりも数円安い」あるいは「数円高い」ということは一般的です。しかし、ふだんほかの地域に行くことがめったにない場合は、価格差に驚くこともあるでしょう。

本記事では、ガソリン価格に地域差がある理由について解説します。

経済産業省資源エネルギー庁が令和6年6月12日に発表したガソリン価格の平均値を、地域別に表1でまとめました(5月7日調査)。

表1

※経済産業省資源エネルギー庁「石油製品小売市況調査」を基に筆者作成

全国平均は175円で、関東地方も同じ価格でした。それに対して東北は2円安い173円、北海道については3円安く172円でした。近畿については関東より安く東北と同水準ですが、西日本の平均価格は175~178円の地域があり、東日本より少し高くなっています。

同じ地域でもガソリンスタンドによって価格は異なるため、「高い」「安い」を一概に総括することはできません。実際、ガソリン価格が安い地域にある一番高いスタンドは、ガソリンが高い地域の一番安いスタンドよりも、価格が高いケースがありえます。

とはいえ平均値で考えると、あきらかに地域差はあります。その理由はさまざま考えられますが、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

■製油所からの輸送コスト

経済産業省資源エネルギー庁によると、地域差が生まれる理由の1つは「輸送コスト」です。

ガソリンはおおまかに「備蓄→製油所での精製→ガソリンスタンドへの輸送」という流れを経て消費者のもとへ届きます。輸送にはタンカーや鉄道、タンクローリーなどが使われますが、日本ではタンカーとタンクローリーでの輸送が大半を占めます。

ガソリンは製油所から直接輸送されるケースもあれば、「油槽所」と呼ばれる二次基地経由で輸送されるケースもあるようですが、ポイントは「製油所からスタンドまでの距離」です。

輸送距離が長いほど輸送コストがかかるため、製油所や油槽所から遠い地域では、輸送コストの分、ガソリン価格が高くなる可能性が考えられます。

2024年3月時点における国内製油所は20か所あり、東北地方には「仙台製油所」があります。前述の資源エネルギー庁のデータでは、宮城県や岩手県の価格が最安級ですが、これは製油所の位置関係と関連しているのかもしれません。

■地域事情

ガソリン価格の地域差には、地域特有の事情が関係する可能性も考えられます。例として、積雪地とそれ以外の地域について挙げましょう。

積雪地では灯油の販売や冬タイヤへの交換など、ガソリン販売とは異なる事業での収入を期待できます。そのため冬の時期には、ガソリン価格を下げやすいといわれています。

それに対して温かい地域では、そのような売上が積雪地ほどないでしょう。そのため、ガソリン販売が収入の多くを占め、ガソリン価格が下がりにくい可能性があると推察されます。

■需要や販売量による価格転嫁

地域差には、ガソリンの需要やスタンドの販売量も影響するといえます。人口が多い地域ではガソリンの需要が大きく、またそれに伴い販売量も多いと思われます。

一方過疎地域では都市部ほど需要が多くなく、販売量も頭打ちになる可能性があります。その場合、ガソリン販売に収入の大半を依存するスタンドは、ガソリン価格を高めに設定することで利益を上げる必要に見舞われるでしょう。