トロピカルカクテルの女王「マイタイ」の元祖は…答えはホテルニューオータニにあった!

AI要約

トレーダーヴィックス 東京で誕生秘話を聞きに行った編集長。マイタイの起源やレシピに迫る。

マイタイのおいしさの秘密は新しいテイストを生み出すアーモンドとオレンジの組み合わせにある。

高アルコールで甘みの強いマイタイは、飲むほどに気分爽快になり、ラテン音楽に誘われて踊り出したくなる。

トロピカルカクテルの女王「マイタイ」の元祖は…答えはホテルニューオータニにあった!

編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。蒸し暑い日が続くこの季節には、普段と違う気分で喉を潤せる、すてきなトロピカルカクテルがほしくなります。日本で夏の定番といえば、やっぱり「マイタイ」。そのレシピ考案者ゆかりのバーが都内にあると聞いて、さっそく誕生秘話を聞きに行きました。

訪れたのはホテルニューオータニ(東京・千代田)の「トレーダーヴィックス 東京」です。トレーダーヴィックスの本家は1934年、米国カリフォルニア州オークランドでオープンし、東京はその支店にあたります。1964年9月開業のホテルニューオータニは今年、60周年を迎えますが、トレーダーヴィックス 東京も1974年にオープンしています。南洋ムードいっぱいの雰囲気はほぼ開業当時のまま。若いころに訪れたことがある人は、きっと懐かしく思われるでしょう。

店に入ると、ティキと呼ばれる神様の木彫りの像がお出迎え。天井には木製のボートやブイがつり下げられ、店内のいたるところにポリネシアやパプアニューギニアの工芸品が飾られています。70年代からエキゾチックな「フュージョン料理」を提供し、様々なシグネチャーカクテルはパイナップルや巻き貝、ドクロといったユニークな形のジョッキで堪能できます。その中でも代表的なカクテルが、今回お目当てのマイタイなのです。

総支配人のカリム・ベルグナウィさんがこう教えてくれました。「マイタイが生まれたのは1944年。創業者のヴィクター・ヴァージェロンがカリフォルニアの本店で考案しました」。ヴァージェロンさんは自ら開いたレストランで、提供するお酒や料理と、お客が持ち寄る世界各国の工芸品などとの交換にいそしんでいたそうです。それが「トレーダー(商人)ヴィックス」のニックネームの由来だとか。

あるとき、ジャマイカ産のラムを手に入れたヴァージェロンさんは、ラムをベースにした新しいカクテルを即興でつくり、友人に飲ませました。その友人はひとくち飲むや否や「マイタイロアエ!(最高においしい)」と叫んだそうです。「これがマイタイのはじまり。その名は世界中に広がっていきました」

お酒を愛する多くの人々を虜(とりこ)にしたマイタイのおいしさ。その秘密はどこにあるのでしょうか。

ラムにまず加えるのは、風味の相性がよいフレッシュライムジュースです。「ラムとライムの組み合わせは定番ですから」。そこにアーモンドシロップとオレンジキュラソーを合わせ、ざくざくしたクラッシュアイスを入れてシェークします。グラスに注ぎ、ミントを飾ってできあがり。「定番の組み合わせにアーモンドとオレンジを加えた味わいが、まったく新しいテイストだ、とラム好きの人たちの評判を呼んだのです」

アルコール度数が高く、かつ、甘みが強いこのカクテルは、目の覚めるようなパンチが効いていて、飲むほどに気分爽快になります。BGMにラテンの音楽がかかろうものなら、思わず踊り出したくなるかもしれません。