飲まなくても楽しめる「ビール体験」が人気 VRなど視覚に訴える演出で需要拡大を後押し

AI要約

ビール大手4社がリニューアルしたビール体験施設が人気で、ビールの魅力を視覚に訴える演出が好評を得ている。

デジタル技術を活用した施設や工夫が来場者数を伸ばし、ビールの販売実績も上昇している。

4社の施設それぞれが異なるアプローチでビール体験を提供しており、多様なビールの世界を楽しめる。

飲まなくても楽しめる「ビール体験」が人気 VRなど視覚に訴える演出で需要拡大を後押し

ビール大手4社が今年リニューアルしたビール体験施設が人気だ。アトラクションやVR(仮想現実)技術などを用いてビールの魅力を視覚に訴える演出が、お酒を飲めない人も楽しめると好評を得ており、各施設の来場者数は当初の想定を上回る。4社が10日発表した1~6月のビールの販売実績が前年同期比で7%増加しており、各社のこうした体験施設も市場の後押しに一役買っているようだ。

デジタル技術を活用

「とてもクールなビール体験だった。銀座を歩いて立ち寄ってみたけど、楽しめたよ」

初夏の暑さが漂い始めた6月。米国から来たという若い男性4人組が興奮した様子で話していた。彼らが訪れたのが、アサヒビールが主力ビール「スーパードライ」の世界に没入することをテーマに4月、東京・銀座にオープンした期間限定店舗だ。

この店舗の目玉が、ビールの製造中の缶に乗ったような迫力を味わえる「スーパードライ ゴーライド」だ。大画面に映し出された映像を通じ、風や音、揺れを体感できるアトラクションになっている。訪日客の来店も増えており、オープンから約2カ月で約1万7000人が来店し、9月末までの目標とする3万人の半分を上回った。

こうしたデジタル技術を駆使した工夫を、サントリーも4月に刷新した「ザ・プレミアム・モルツ」を製造する武蔵野ビール工場(東京都府中市)の見学ツアーに導入している。

ツアーでは、双眼鏡の形をしたVRスコープを使い、ビール作りの重要な工程である「官能検査」を体験できる。官能検査とは、作り手がビールを試飲し、五感で日々のビールの状態をチェックする工程で、スコープを通して、工場内で実際に検査に携わっているような臨場感を味わえる。こうした新体験の効果もあり、来場者数は計画に比べ約1割増で推移する。

多様なビールの色どり演出

一方で、ダイレクトに視覚に訴えた工夫を凝らしているのがキリンビールとサッポロビールだ。

キリンが5月にリニューアルしたのはクラフトビールを醸造、提供する東京・代官山の「スプリングバレーブルワリー東京」。目を引くのが1階壁のビールサーバーの上に並ぶ色とりどりのビールだ。フラスコのようなガラス瓶に約20種類のビールが注がれて展示されており、それぞれのビールの色の違いを視覚的に楽しめるよう工夫されている。