なぜ「24時間テレビ」は「感動ポルノ」に変わったのか…日本テレビがそれでも番組を継続する理由

AI要約

日本テレビのチャリティー番組「24時間テレビ」がさまざまな逆風にさらされながらも放送される。番組の原点やテーマについて、過去から現在までの変遷を振り返る。

番組の原点は深夜番組「11PM」であり、政治からストリップまで多岐にわたる企画を展開していた。特に象徴的だったのは「巨泉 考える」シリーズで、様々な話題に深く踏み込んでいた。

さらに、「24時間テレビ」のベースとなった「世界の福祉」特集も紹介されており、番組の根底にある福祉への取り組みや社会問題への関心が明らかにされている。

日本テレビのチャリティー番組「24時間テレビ」が今年も放送される。だが、2023年に系列局職員による寄付金着服が発覚するなど、番組はさまざまな逆風にさらされている。ライターの戸部田誠さんは「生みの親である都築忠彦プロデューサーは『日テレが潰れるまでやめられない番組』として企画を始めた。だからこそ、原点を見つめ直す必要がある」という――。

■原点は政治もストリップも扱う深夜番組だった

 「愛は地球を救うのか?」

 日本テレビ系列「日本海テレビ」元幹部による寄付金着服事件の発覚や、いわゆる「感動ポルノ」批判、そして視聴率低下などで存続が危ぶまれていた「24時間テレビ」(日本テレビ)が、1978年の番組開始当初から使われていた「愛は地球を救う」というキャッチフレーズをそのように変えて、今年も放送されることが発表された。約半世紀の間、続いてきた番組タイトルの意味、チャリティーの本質を見つめ直す“決意”をテーマに込めたという。

 そもそも「24時間テレビ」の発想の原点は深夜番組「11PM」だった。「11PM」というと「サバダバサバダバ~」のスキャットに乗せてラインダンサーや裸の女性が描かれたアニメーションのオープニングが印象的で、リアルタイムで見ていない世代にとっては「深夜のお色気番組」というイメージが強い。しかし、「政治からストリップまで」を標榜していたように硬軟様々な企画をおこなっていた。

 中でも象徴的なのが、月曜イレブンで展開されていた「巨泉 考える」シリーズ。このシリーズではポルノ映画を扱ったかと思えば、次の週では日韓問題を取り上げ、ストリップの妙技を題材にすれば、沖縄問題や性教育に斬り込んだ。音楽も選挙も等価で特集した。

■「世界の福祉」特集が24時間テレビのベースに

 このシリーズを手掛けた都築忠彦は「日韓問題をタブー視し、性が気になるくせに本音で語らない。そんな日本の建前主義を崩したかった」(「読売新聞」1992年5月25日)と語っている。

 その中のひとつ「世界の福祉」特集が、「24時間テレビ」のベースになったことは有名な話だ。日本テレビ開局25周年記念番組の企画公募がおこなわれると、都築はこの特集をもとにした企画を応募。それが通ったのだ。最終的な承認を得るため、当時の社長・小林与三次にプレゼンすると「おもしろいことを考えるなあ」と満足気に頷いたが、しかし、こう続けたという。