【一覧】相続税の申告で「税務署に目をつけられやすい」意外な財産、こんなにあります

AI要約

相続税の申告後に税務署から調査を受けやすい財産には、名義預金やへそくりなどがある。へそくりは特に注意が必要で、認知症の親の預金も相続財産として計上されることがある。

一次相続と二次相続のあいだに資産を現金化して隠す行為や、親の口座から大量のお金を引き出す試みなども税務署によってすぐにバレる可能性が高い。

金や絵画、刀剣、ヨットなどの資産も税務署の厳しい目には逃れられず、配偶者への相続に関する控除や計算にも十分に注意が必要である。

【一覧】相続税の申告で「税務署に目をつけられやすい」意外な財産、こんなにあります

税務署が家にやってきて調査をする。そんなのは富裕層にだけ起きること……なんて思っていたら大間違いだ。相続は、ちょっとしたミスが命取りになる。相続の「恐ろしさ」を知っておいて損はない。

【前編】『怖い…税務署から「追徴」「罰金」「調査」を食らいやすい「意外な相続財産」の名前』では、相続税の申告をしたあとに税務署から調査を受けやすい財産として、「名義預金」があることを見た。ほかに調査を受けやすい財産としてどのようなものがあるのか。引き続き見ていこう。

続いて「へそくり」に注目しよう。これも税務署が目を光らせている資産の1つだ。大阪国税局などで勤務経験がある、秋山税理士事務所代表の秋山清成氏が言う。

「たとえば、収入がない専業主婦の妻が夫の給料をやりくりして、年に60万円をへそくりとしてコツコツ貯め、40年で2400万円になったとしましょう。夫が亡くなると妻は、この資産は自分が貯めたのだから自分のものだと思います。しかし、税務調査官はここを突く。ケースにもよりますが、妻の名義の口座で管理していたとしても、へそくりは夫から預かったおカネ『預り金』とされ、夫の相続財産に繰り込まれる可能性が高いのです。

調査の現場でこう言うと、奥さんの多くはひどく怒りますが、『だからこそ配偶者への相続には配偶者控除が適用され、1億6000万円までは控除される』と説明すると、多くは納得してくださいます。ただ、相続財産の総額が変わると、制度のしくみ上、子供の相続税には影響してくるので要注意です」

さらに秋山氏が「預り金」に関して指摘するのが、認知症の親の資産だ。

「親御さんが認知症になり、預金管理ができず、子供がおカネを管理している例がしばしばあります。この預金は『預り金』なので、相続財産として計上する必要があるのですが、忘れてしまう例が見受けられます」

なかには「うっかり」ではなく、意図的に相続税を圧縮しようとする人もいるが、これもたいていすぐにバレてしまう。前出の天野氏が言う。

「親が亡くなる直前になって、親の口座から大量のおカネを引き出す方がいます。現金化して相続税を逃れようとしているわけですが、これは亡くなった方の口座を見れば一瞬でわかるので、すぐにバレてしまいます。

ほかには、金(ゴールド)や絵画、刀剣、ヨットといったかたちで保有している資産ならば申告しなくてもバレないと思っている人がいますが、これも基本的に見つかると考えたほうがいい。これらの資産は取扱業者が保有者を登録していることが多く、税務署はそうした業者に照会をかけるからです」

両親の片方が亡くなったときの「一次相続」と、残りの1人が亡くなったときの「二次相続」のあいだに資産を現金化して隠し、申告額を減らそうとする人もいるというが、これもバレやすい。

「一次相続と二次相続のあいだの期間が短いにもかかわらず、申告額が大きく減っていると、税務署は調査に乗り出すことが多い」(前出・貞方氏)

税務署の目はかくも厳しい。

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【つづき】「7000万円を相続した「69歳男性」が青ざめた…「税務署」から突然かかってきた「恐怖の電話」」の記事では、実際に税務調査を受けた事例を紹介している。

「週刊現代」2024年6月29日・7月6日号より