「誰も期待してない」夢を諦めた2人がコンテストに出場…隠してきた2人の本音

AI要約

元モデルと普通の女の子が出会い、自らの夢に挑む物語を描いた人気漫画『ブレス』の第5巻が7月9日に発売。

物語は、元モデルのアイアと大人しい女の子・純が学園祭のコンテストに挑む姿を中心に展開し、メイクを通じて等身大の自分を祝福するメッセージを読者に届ける。

著者の園山ゆきのさんが作品に込めた思いや、自身の経験を通じて得た勇気についても語られている。

「誰も期待してない」夢を諦めた2人がコンテストに出場…隠してきた2人の本音

ヘアメイクアップアーティストになりたい1人の元モデルと、モデルになりたいごく普通の女の子。2人の出会いをきっかけに、それぞれが心の奥底にしまい込んでいた自らの夢に挑んでいくーー。

SNSで話題沸騰中の園山ゆきのさん大人気漫画『ブレス』(マガジンエッジ/講談社)の第5巻が、7月9日(火)に発売!

FRaU webでは特別に、新刊発売記念インタビューが実現! どのようなきっかけで本作が生まれたのか、作品に込めた思いなど、著者の園山さんにお話を伺った。期間限定の試し読みとともにお届けする。

マンガ/園山ゆきの 文/FRaU編集部

▼あらすじ

元モデルの宇田川アイアは、メイクアップアーティストになる夢を持っていたが、周りから否定されることを恐れて夢を諦めていた。

そんなある日、アイアは顔のそばかすを隠すように背中を丸めている大人しい女の子・炭崎純とタッグを組み、学園祭のコンテストにクラス代表として出場することに。

このコンテストは、衣装やヘアメイクを担当するスタイリスト役とモデル役、その2人1組でランウェイを歩くという独特のルールをもったイベントで、芸能志望や美容志望の学生が多いこともあり、学外からも取材が舞い込むなど、業界からも注目を集めているコンテストでもあった。

そこにほぼ強制的に、クラスメイトから推薦されて出場することとなった2人。元モデルという経歴を持つアイアは必然的にモデル役を任されることに。

だが話を進めるうち、アイアは実はメイクが好きで、ノートにもメイクの技法をまとめるなど研究を続けていることを知った炭崎は、「私達さ モデル役とスタイリスト役 逆で出るのはどうかな!?」と提案する。

「誰も僕にメイクの腕は期待してないんだってば」

そう告げるアイアだったが、

やり取りを重ねるうち、ずっと誰にも言えず心の奥底に隠してきた炭崎の胸の内を知り、また炭崎の教室では見せない魅力を感じたアイアは、メイクで炭崎の魅力を引き出し学園祭に挑むことを決意するーー。

SNS上では、「絵がめちゃくちゃ綺麗だしメイクしたくなる」「とにかく描写が綺麗で心が揺さぶられるストーリー」といった読者の声が上がっている本作、どのようなきっかけで生まれたのか、また製作エピソードなどについて、著者の園山さんにお話を伺った。

ーー本作が生まれたきっかけを教えてください。

今の担当さんから、「園山さんの絵柄に似合うと思うんだけど、ボクシングものかメイクものならどっちが描きたい?」と聞かれ、ボ、ボクシング!? と驚き、それなら好きな分野でもあるメイクかな……と思ったのが最初です。

バディの立場が逆転してそれぞれの夢を叶える話ってアツイよね、というようなことを話した覚えがあります。

ーー“自分が本当にやりたいこと”に蓋をしてきたキャラクターたちが、メイクやモデルをきっかけに自分の夢と本音に目覚めていくその姿を見て、私自身とても勇気をもらったのですが、園山さんご自身が作品に向き合い描く中で、キャラクターたちから学んだことや勇気をもらったことがあればぜひ教えてください。

ありがとうございます! キャラクターから勇気をもらったことといえば、ギンガくんのように、境遇に恵まれなかったとしても自分の力で切り開いていく覚悟を持ってもいい、というところでしょうか。

自分自身がすぐ諦めたり、よくない現状を受け入れようとしたりしてしまいがちなので、それを打ち破る勇気をもつことを教えてくれたような気がします。

ーー園山さんご自身は、「自分の“やりたい”に蓋をした」ご経験はございますか? 今、漫画家としてご活躍なさっていますが、ここまでに至る過程の中で抱いた葛藤や経験も本作に盛り込まれているのでしょうか?

幸い、小さい頃から両親には好きなことを好きなだけやらせてもらえたので、そのことにはとても感謝しています。特に何かを咎められたこともありませんでした。

ただ、葛藤や経験は大いに盛り込んでいて、たとえば一巻で炭崎がアイアに「遅いって言ったらやめる?」と問いかけるシーンなどは、私の恩師が実際に私に言った言葉で、ハッとした言葉でもあります。

一話の傷つきたくないアイアも多くの人に共感をしていただいたキャラだったと思うのですが、私の傷つくのが怖い気持ちが現れているところで、そういった場面は多くあり、自分をさらけ出すようで毎回気恥ずかしいところでもあります。

ーー1巻終盤で、ライバルから「お前の夢は何か?」と聞かれた宇田川が、メイクに対する想いについて語るシーンがありますが、園山さんご自身は現段階で「何のために、どんな想いで漫画を描いていきたい」と感じていらっしゃいますか?

1人でも多くの人に楽しんでもらえたら、という気持ちが一番にあります。自分の能力を活かして社会に貢献できることはなにか? ということを自分自身によく問うのですが、それは絵や漫画を通して人に楽しんでもらうこと、エンターテイメントを届けることではないかなと最近思うようになりました。

漫画を読んでいるあいだだけでも嫌なことや辛いことを忘れ、「その時間を楽しむ自分自身と向き合う」時間にしてもらうために、読みやすく読者の心に届きやすい漫画を試行錯誤して作っていけたらなと思います。

ーー本作を通して読者に伝えたいメッセージがあればぜひ教えてください。

すべてのキャラクターがメイクを通じて等身大の自分を祝福されていく物語になればいいなと思っています。だれか一人でも自分を重ねられるキャラクターが見つかれば嬉しいです。読者の方と同じようにやりたいことと向き合い、葛藤し、様々な経験を積んでいくアイアくんと純ちゃんの応援を、どうぞよろしくお願いいたします!

5巻発売のこの機に、ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。