江戸時代にもサマータイム 猛暑対策へ考え直すべきだ 書く書く鹿じか

AI要約

気象庁が発表した7月から9月にかけての3カ月予報によると、全国的に平年より気温が高くなる見込み。

サマータイムの導入について提案があり、欧米などで採用されていることも紹介。

江戸時代には既にサマータイムに似た不定時法が存在し、人々は自然の摂理で生活していた。

江戸時代にもサマータイム 猛暑対策へ考え直すべきだ 書く書く鹿じか

気象庁が発表した7月から9月にかけての3カ月予報によると、全国的に平年より気温が高くなるという。昨年は観測史上で最も暑い夏だったが、今年はさらに上回るかもしれない。「危険な暑さ」はもう異常気象ではない。猛暑対策を根本的に考え直す必要がある。

以前、別のコラムでサマータイムの導入を提案した。仮に時計の針を2時間進めると、まだ気温がそう高くない早朝の時間帯を有効に活用でき、明るいうちに仕事が終わってアフター5を長く楽しめる。冷房や照明の電力使用が抑えられ、省エネ効果も期待できる。そうした理由を列挙した。

サマータイムは欧米など約60カ国で採用されている。環境省なども積極的で、これまで何度か具体化しかけたが、切り替え時に睡眠不足になって健康を損ねる▽コンピューターシステムの変更が困難▽かえって労働時間が長くなる…など反対が多かった。

東京2020オリンピック・パラリンピックでは、暑さ対策として当時の安倍晋三首相が自民党に検討を指示したが、マラソンのスタートを涼しい時間帯にできる程度でメリットは少ない、と見送られた。

どうもサマータイムは日本人になじまないようだが、実は深刻な電力不足に見舞われた終戦直後、連合国軍総司令部(GHQ)の指示で夏時刻法が制定され、昭和23年から実施されている。しかし、残業が増えたなど反発が強く、その後、電力事情が改善されたこともあって、わずか4年で廃止された。

ところで、江戸時代にはサマータイムで暮らしていたのをご存じだろうか。

時代劇や時代小説によく出てくるが、夜明け(日の出の約30分前)を「明け六つ」、日暮れ(日没の約30分後)を「暮れ六つ」とし、その間を6等分して時刻を定めた。「一刻」は季節によって長さが変わるので「不定時法」と呼ばれる。

例えば、一年で最も昼間が長い夏至には「明け六つ」から「暮れ六つ」まで16時間もあり、「一刻」は約2時間40分になる。逆に冬至は約1時間50分しかなく、その分、夜の「一刻」が長くなる。

もとより庶民は時計など持っていないから、お寺などでその時刻の数だけ鐘を突いて知らせた。太陽の昇り沈みという自然の摂理で生活して、不便はなかった。