無断欠勤や迷惑行為、依存、違法行為まで……人生を失う!? 適応障害にひそむ落とし穴とは

AI要約

適応障害とは、ストレスに適応できずに起こる病気と健康の境目にある状態であり、症状が軽ければ6ヶ月以内に回復するが重症化すると他の病気に移行する可能性がある。

適応障害の症状として、ストレスからくるネガティブな感情が現れ、それによって犯罪行為や自暴自棄的な行動、破壊行動、反社会的行為などが起こることがある。

違法行為に至る本人の気持ちとして、投げやり感、焦燥感、怒りなどが挙げられ、自己否定感や自己評価の低下、思いどおりにならない焦り、怒りと自己肯定感の狭間にいる状態が見られる。

無断欠勤や迷惑行為、依存、違法行為まで……人生を失う!? 適応障害にひそむ落とし穴とは

「仕事をする気が起きず、出社がいやになってしまう」、「夜になると気持ちが落ち込み、眠れないし食欲もない」、「つらいできごとを思い出しては苦しくなって泣いている」……。病院に行くほどではないけれど、不安や抑うつの症状があるのなら、適応障害になっているのかもしれません。

適応障害とはストレスに適応できずに起こる、病気と健康の境目にある「状態」のこと。症状が軽いため、ストレスがなくなれば6ヵ月以内に回復するといわれています。しかし重症化すると、うつ病やPTSD、不安症など、ほかの病気に移行することもあるため油断はできません。

この連載では『適応障害のことがよくわかる本』(貝谷久宣監修、講談社刊)から、全8回にわたり、適応障害の対策を立てるためのヒントをご紹介します。前回に引き続き、適応障害のおもな症状についてみていきましょう。

適応障害のことがよくわかる 第3回

ストレスは抑うつ、不安など気分を変化させ、その影響が行動の変化として現れます。泣く、叫ぶ、ふて寝をするというのも一例ですが、なかには法にふれる行動に及ぶ人もいます。

環境に適応しようとがんばってはいても、ストレスからくるネガティブな感情に気持ちは沈みます。そして、その感情に向き合わず、こころの底に抱え、無意識のうちに人生を投げてしまっています。

その結果、騒音、暴走、ケンカなどの迷惑行為、アルコールや薬物依存などの自暴自棄的な行動、ものを壊したり動物虐待したりする破壊行動、窃盗や万引きなど反社会的行為、家庭内暴力など……を起こす人もいます。

病気になる前はものごとの善悪もわきまえていました。人に言われれば、わるいことだとわかります。けれど、もはやどうでもよくなっているのです。病的な素行症(非行)と違うのは、もとになったストレスがあり、そのできごとから3ヵ月以内に現れていることです。

【違法行為に至る本人の気持ちは……】

●投げやり感

「どうせ私なんて」「こんな仕事なくてもかまわない」など、自己否定感や自己評価も低下し、行動の結果を考えない。

●焦燥感

思いどおりにならず、焦れたりする。

●怒り

自分はバカにされていると思う反面、「バカにするな」「自分を認めろ」という怒りもある。