大学中退して先が見えなかった20代「元ヤングケアラー」、意外な「母の形見」によって前を向けたワケ

AI要約

元ヤングケアラーの三島俊祐さんが介護をしていた母親の形見で折り鶴のストラップを配る活動を始める。

折り鶴の活動を通じて、自身の心の癒しや1000人に届ける目標を持つ三島さんの姿が描かれる。

未来に向かって前向きに取り組む三島さんの活動が紹介される。

大学中退して先が見えなかった20代「元ヤングケアラー」、意外な「母の形見」によって前を向けたワケ

 「ヤングケアラー」という単語やその存在が国やメディアなどに取り上げられ数年が経過。筆者は、数々の取材や支援や講演活動の経験、そして元ヤングケアラー当事者として、「かわいそう」、「支援が絶対必要」、「ヤングケアラーの存在自体が社会問題」というネガティブや誤解したイメージが先行しているように感じています。

 ヤングケアラーの中には、介護や医療や福祉の専門職で働く人、支援者で似た境遇の人をサポートする人、結婚してこどもがいる人など多様な存在がいるのを知ってください。

 前編記事〈母親が亡くなったショックで大学中退、「ケアロス」で外出もできず…20代「元ヤングケアラー」が訴えたいこと〉では、大学生の時に介護をしていた母親が、がんで他界し、ケア後も心身共に苦しんだという元ヤングケアラー・三島俊祐さんを紹介しました。

 本稿では、母親の形見や人との縁からはじめた、三島さんの意外な活動、前向きに頑張る姿を取材しました。最後までご覧いただければ幸いです。

 三島さんはデイサービスで介護職員として働きはじめたものの、今一度自身が何がやりたいかわからなくなりました。そして、介護職員を退職し一人旅をはじめました。

 そんな中、ふとした時に母親の形見に、折り紙があるのを思い出しました。

 「母親は手先が器用でよく折り紙を折っていました。母親のように人が喜ぶことが何かできないかって考えた時、折り鶴は幸運を運ぶといわれ縁起がいいので折りはじめました。

 一人旅をスタートしたのは石川県金沢市、旅先で出会った人に折り鶴を折ってみたらめっちゃ喜んでくれて。それから折り鶴のついたストラップを配り続けています」(三島さん)

 絵柄は、花柄や和紙やドット柄などで、色はピンク、紫、水色など実に豊富で、「受け取っていただきありがとうございます。願いが叶いますように」 とメッセージカードを添えて渡しています。

 三島さんは、現在折り鶴のストラップを1000人に配るのを目標にした活動をし、色々な人に知ってもらえるようになりました。この活動をはじめたのには理由があります。

 「あるお世話になっているインスタグラマーさんに出会った時、三島さん、1000羽折って配ってみたらと言われました。1000人の人に配れば1000羽鶴になるじゃんって。その言葉に共感して目指そうと決めました」(三島さん)