【都知事選】実は「有権者」も処罰の対象に!? 有権者が注意すべき「法律違反」となる行為9選

AI要約

東京都知事選に関する選挙関連の法律違反について、有権者が犯す可能性のある行為について解説。

選挙運動において飲食物の提供や物品配布、ビラやポスターの作成・配布、落書き、ポスターの剥がし行為などが法律違反となる可能性がある。

公職選挙法に違反する行為は事前選挙運動や選挙の公正性を損なうものであり、逮捕や刑罰の対象となる恐れがある。

【都知事選】実は「有権者」も処罰の対象に!? 有権者が注意すべき「法律違反」となる行為9選

 6月20日に告示され、7月7日に投開票を控える東京都知事選。“掲示板ジャック”や“ほぼ全裸ポスター”など、選挙ポスターに関する騒ぎが相次いでおり、連日報道されています。候補者側が「やってはいけない」選挙活動に関する行為はしばしば話題になりますが、中には「有権者」が行うと法律違反に該当する、選挙関連の行為も存在します。

 そこで、有権者が行うと法律違反に該当する可能性のある「選挙」にまつわる行為について、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

Q.「有権者」側が行うと法律違反になる恐れのある「選挙」に関する行為には、どのようなものがありますか。

佐藤さん「選挙犯罪(公職選挙法によって刑罰の対象とされている行為)をすれば、いずれも逮捕される可能性が生じます。また、選挙犯罪で刑罰(一定の場合を除く)を科せられた者は、一定の期間、選挙権・被選挙権が停止され、停止期間中は投票することも立候補することもできなくなります(公職選挙法252条)。

有権者が行うと法律違反になる恐れのある主な行為として、次の9個を挙げます」

【有権者から候補者へ、飲食物を提供する】

選挙の公正を確保するため、選挙運動に関して、飲食物(お茶や通常用いられる程度の茶菓子を除く)を提供することは、全ての人について禁止されています(公職選挙法139条)

そのため、候補者側が有権者に対して飲食物を提供することはもちろん、有権者が候補者を激励するために飲食物を提供することも禁じられています。違反すれば、「2年以下の禁錮または50万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法243条1項1号)。

なお、「選挙運動」とは「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に必要かつ有利な行為」とされています。

【有権者が近所へ物品を配り、特定の候補者についてアピールする】

特定の候補者を当選させよう、または当選させないようにしようという目的で、選挙権を有する人(選挙人)に対し、金銭や物品などを与えることは禁じられています(公職選挙法221条1項1号)。

有権者が特定の候補者を当選させたいと思い、近所に住む選挙人へ物品を配れば、この規定に触れ、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」に処される可能性があります。

なお、公職選挙法は、金銭や物品を受け取るなど買収された側にも「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」を科すと定めており、違反になります。

【有権者が、特定の候補者を応援するために、自作のビラやポスターを作って配る】

公職選挙法では、選挙時に選挙運動に関して使用できる文書図画(ビラ、ポスター、看板など)が限定されており、それ以外のものは使用できません(公職選挙法142条、143条、146条)。そのため、有権者が作成し、配布したビラやポスターがルールに反していた場合、「2年以下の禁錮または50万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法243条1項)。

また、平常時において、表面上、選挙運動のための文書の形式ではないものであっても、行為者の意思、頒布の時期、数量、地域などを総合的にみて、実質的に「特定候補者の当選を意図する文書図画」と判断されれば、選挙運動であるとされ、事前運動の禁止に抵触する場合があります(公職選挙法129条)。事前運動の禁止に違反した場合、「1年以下の禁錮または30万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法239条1項)。

【有権者が、選挙ポスターに落書きをする】

公職選挙法は、選挙に関し、選挙ポスターなどの文書図画を毀棄(きき)し、選挙の自由を妨害することを禁じています(公職選挙法225条2号)。選挙ポスターへの落書きは「毀棄」と評価される可能性があり、「4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」に処される可能性があります。

【有権者が、選挙ポスターを無断で剥がす】

掲示場に貼られている選挙ポスターを剥がす行為は、落書きのケースと同様、文書図画を毀棄し、選挙の自由を妨害する行為と評価される可能性があり、「4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法225条2号)。