尿酸値が高い人は認知症になりにくい⁉…「高尿酸血症」の人への知られざる「恩恵」

AI要約

尿酸値が高いと健康リスクが上がるが、認知症や神経難病のリスクは低下する可能性がある。

尿酸には抗酸化作用があり、脳細胞を保護する効果があると考えられている。

パーキンソン病や多発性硬化症などの神経難病に罹りにくい可能性がある。

尿酸値が高い人は認知症になりにくい⁉…「高尿酸血症」の人への知られざる「恩恵」

 毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。

 BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。

 『健診結果の読み方』連載第38回

 『将来「寝たきり」にならないために…40歳以上の女性が「健康診断」で追加すべき「指標」を知っていますか? 』より続く

 尿酸値が上がると、痛風や尿路結石のリスクが上がりますし、放置しておけば慢性腎不全に進むこともあります。それだけでなく動脈硬化、不整脈、糖尿病などのリスクも上がることが知られています。

 ですから尿酸値を適度にコントロールすることが大切なのですが、高いからといって、必ずしも悪いことばかりとは限りません。

 実は尿酸値が高いと、アルツハイマー病を含む認知症のリスクが低くなることが知られているのです。日本を含めた各国の疫学調査などから、尿酸値が6.0~8.0のひとは、それよりも低い人と比べて、認知症が30パーセント前後も少ないことが、明らかになりつつあります。尿酸には、ポリフェノールを凌ぐ抗酸化作用があり、それが老化から脳細胞を守っているのではないか、と考えられています。

 それだけでなく尿酸値の高い人は、パーキンソン病や多発性硬化症などの神経難病に、約10~20パーセントほど罹りにくいことも分かってきました。理由は同じで、尿酸が少ないと、神経細胞を酸化から守る力が弱いからではないか、と考えられています。

 パーキンソン病は、動作が遅くなる、手足が震える、筋肉が硬くこわばる、姿勢のバランスが取りにくくなる、などの症状がある神経難病で、日本では60歳以上の100人に1人が発病するとされています。男性よりも女性にやや多い病気です。

 また多発性硬化症も神経難病のひとつです。脳や神経が慢性的な炎症で傷つくことによって、徐々に運動の障害が生じ、視力が低下して、認知能力も落ちてきます。日本では約1万9000人の患者がいると言われています。

 まだ医療界の十分なコンセンサスが得られていませんが、もし本当なら、尿酸値が高いのは、脳神経の病気の予防という点で有利であると言えそうです。健診で尿酸値がひっかかった人は、自分は認知症やパーキンソン病になりにくい体質だと思っておけば、少し気が楽になるでしょう。