妊娠中の「膀胱炎」や「尿漏れ」の原因はご存じですか? 予防法・治療法も医師が解説!

AI要約

妊娠中の尿トラブルは非常に多く、尿漏れや膀胱炎などが起こりやすいです。妊娠中は体内の水分量が増えるため尿の量も増え、骨盤底筋に負荷がかかって尿漏れが起こりやすくなります。

膀胱炎は妊娠中になりやすく、症状としては頻尿や残尿感、排尿時の痛みが現れます。子宮が大きくなることによって骨盤底筋にダメージが与えられ、尿漏れや膀胱炎が引き起こされることが多いです。

尿漏れや膀胱炎を予防するためには、妊娠中から骨盤底筋訓練をおこない、規則正しい生活を送り免疫力を高めることが重要です。産後も骨盤底筋体操を続けることで、トラブルのリスクを減らすことができます。

妊娠中の「膀胱炎」や「尿漏れ」の原因はご存じですか? 予防法・治療法も医師が解説!

妊娠は女性の体に様々な変化をもたらしますが、泌尿器にも影響を及ぼすことが非常に多いことをご存じですか? 妊娠中の尿トラブルのリスクを減らすために、どのような対策が必要なのでしょうか。今回は妊娠中の尿トラブルについて、「レディースクリニックなみなみ」の叶谷先生に解説していただきました。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

編集部:

妊娠中の泌尿器トラブルは多いのですか?

叶谷先生:

はい、とても多いですね。妊娠中は体内の水分量が増えるので尿の量も増えますし、膀胱や子宮を支える骨盤底筋に負荷がかかって尿漏れが起こりやすくなります。妊娠・出産は尿漏れの最大のリスクであり、ほぼ全ての妊婦さんが「尿漏れ」を経験すると言われています。尿意を全く感じずに尿漏れすることも多く、破水との違いが分からなくなりがちです。

編集部:

膀胱炎になる人も多いと聞きました。

叶谷先生:

妊娠中はホルモンの影響によって尿管などの平滑筋が弛緩し、尿がうっ滞します。うっ滞して尿の流れが悪くなった結果、細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎を引き起こすのです。さらに、妊娠中は免疫力も下がっているため、普段以上に感染症になりやすいことも影響していると考えます。

編集部:

膀胱炎になると、どのような症状が出るのですか?

叶谷先生:

頻尿や残尿感、排尿時の痛みなどが主な症状です。さらに、尿に血が混じったり、尿が濁ったりすることもあります。進行すると腎臓まで感染が至り、腎盂腎炎などを引き起こして入院が必要になることもあるので要注意です。

編集部:

なぜ、そのようなトラブルが起こりやすくなるのですか?

叶谷先生:

子宮が大きくなることによる骨盤底筋の圧迫で、ダメージを与えることが大きな要因です。骨盤底筋の緩みなどが尿漏れを引き起こします。加えて、経腟分娩によって会陰裂傷や膀胱粘膜の障害が引き起こされるため、産後は尿漏れが必ずと言っていいほど起こるのです。また、子宮が大きくなることにより膀胱や尿管が圧迫されて尿がうっ滞し、細菌が繁殖しやすくなるために膀胱炎を発症します。さらに、冷えも膀胱炎と関連があるため、妊娠中は特に体を冷やさないよう意識していただきたいです。

編集部:

妊娠中の尿漏れを予防する方法はありますか?

叶谷先生:

尿漏れの予防には、妊娠中から骨盤を支える靭帯や筋肉を鍛える「骨盤底筋訓練」をおこないましょう。また、膀胱炎の予防としては、規則正しい生活をして免疫力を高めることが重要です。生活習慣を整えて、免疫力を高めることがポイントです。トイレを我慢しないことや意識して水分を摂ることなども、泌尿器トラブルの予防につながります。

編集部:

妊娠中の泌尿器トラブルは、出産すると解消されるのでしょうか?

叶谷先生:

子宮による膀胱の圧迫や水分量の増加などは産後、元に戻るため、尿漏れや膀胱炎となるリスクは減っていくかもしれません。しかし、ダメージを負った骨盤底筋は出産したからといって、すぐに回復するわけではないので、産後も継続的に骨盤底筋体操をおこなうことが重要と考えます。産後は子宮内に胎児はいなくなったものの、産まれた子どもを抱くシーンが増えるため、骨盤にかかる負荷はそれほど変わらないとも言われています。