セクシー田中さん問題で小学館が調査報告書 日テレ側に「第一の問題」

AI要約

芦原妃名子(ひなこ)さんが急死した問題を巡り、小学館と日本テレビの調査報告書が公表された。日テレと芦原さんの間で脚本の問題があり、コミュニケーション不足が指摘された。しかし、最終的には芦原さんの意向に沿ったドラマが完成した。

ドラマ「セクシー田中さん」は、芦原さんが原作の漫画を基にして制作され、放送された。芦原さんはドラマ化の際に漫画に忠実にすることを条件として伝えていたが、意思疎通の機会が不足していたという経緯が明らかになった。

芦原さんの急逝後、ネット上での日テレや脚本家への批判が高まり、結果として芦原さんの遺体が発見された。自殺とみられる現場の状況から、問題の深刻さが浮き彫りになっている。

セクシー田中さん問題で小学館が調査報告書 日テレ側に「第一の問題」

 日本テレビが昨年秋に放送した連続ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家、芦原妃名子(ひなこ)さんが急死した問題を巡り、原作漫画の出版元の小学館は6月3日、特別調査委員会の調査報告書を公表した。芦原さんが1月末に亡くなる前にネットで「必ず漫画に忠実に」することをドラマ化の条件としていたのに脚本を巡って日テレ側と食い違いがあったなどと投稿したことについて、小学館の報告書では、日テレが、芦原さんの意向を脚本家に伝え、原作者と脚本家との間を調整するという役割を果たしていない可能性があり、日テレ側が「原作者の意向を代弁した小学館の依頼を素直に受け入れなかったことが第一の問題であるように思われる」と記した。

 一方で「最終的には芦原氏の意向にかなったドラマが完成した」とも記載した。また、企画打診から半年間でのドラマ化について、「芦原氏のように原作の世界観の共有を強く求める場合には、結果として期間十分とは言えなかったと思われる」と指摘した。今後の指針として、版元作品の映像化の許諾を検討するに当たり、作家の意思や希望を確認し、その意向を第一に尊重した文書を作成し、映像制作者側と交渉するなどとした。

 日テレは5月31日、社内特別調査チームによる調査報告書を公表。芦原さんとの脚本を巡る食い違いなどの主な原因として、芦原さんの要望が、ドラマ化許諾の条件に当たる強い要求として、制作サイドに伝わっていないなどコミュニケーション不足があり、信頼関係が失われていったと説明していた。31日の説明会では、調査チームの外部弁護士らが、芦原さんと日テレの間で窓口役となった小学館が、芦原さんのことを「難しい人(原作へのこだわりが強い人)」と伝えた他、芦原さんの意向を一部丸めて伝えていたとも指摘した。

 「セクシー田中さん」は、小学館の漫画誌で連載中だった同名漫画(芦原さんの死後に終了)が原作。地味な会社員の女性が夜になると一変し、ベリーダンスで自己を解放するという物語。日本テレビが連続ドラマ化し、昨年10~12月に全10話が放送された。

 ドラマの終盤の脚本は、芦原さんが自ら執筆していた。最終回が放送された12月24日、脚本家がSNS(ネット交流サービス)で、これに困惑しながら協力したと打ち明けた。

 一方で、芦原さんも今年1月26日にSNSで、ドラマ化の際に「必ず漫画に忠実に」制作し、そうでない場合は加筆修正するといった条件を日テレ側に伝えていたなどの経緯を投稿。脚本家やドラマの制作スタッフと直接意思疎通する機会がなかったことや、原作を大きく改変した脚本の提示が続き、修正のために疲弊していったことなども記した。

 ネット上では日テレや脚本家への批判が高まり、芦原さんはSNSに「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と投稿。その翌日、遺体が栃木県内で見つかった。現場の状況から自殺とみられている。【井上知大、諸隈美紗稀】