「ただいまご紹介にあずかりました」は絶対ダメ…スピーチの達人が勧める"とっておきの語り出し"

AI要約

スピーチやプレゼンで冒頭の工夫が重要であり、問いかけや呼びかけを行うことで聞き手の興味を引きつけることができる。

問いかけをする際には、聞き手とのコミュニケーションを意識し、反芻する時間を与えることが重要である。

工夫された話の出だしは、聞き手の興味を喚起するだけでなく、話の目的にも貢献する効果がある。

スピーチやプレゼンではどう話し始めるべきか。スピーチライターの千葉佳織さんは、「『問いかけ』や『呼びかけ』などひと工夫を行うことで、聞き手の興味を喚起できる。形式的な決まり文句から始めるのはとてももったいない」という――。

 ※本稿は、千葉佳織著『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■話し始めを工夫できると「伝わり方」が変わる

 スピーチやプレゼンなど、場を与えられて「よーい、スタート」で話し始めるような場面ではとくに、話の出だしをどう工夫するかは重要なポイントです。

 冒頭の部分の質を上げることができれば、聞き手の集中力を維持することができますし、良い第一印象を形成することもできます。

 逆に、ありきたりで工夫のない冒頭は聞き手の離脱をもたらします。

 さまざまなコンテンツがあふれ、時間の取り合いをする現代。たった数秒の「話し始めって普通こうだよね」という思考停止によって、せっかくの話す機会がとても残念でもったいない結果に終わってしまいます。

 聞き手にとって興味を持ちづらい、惰性で時間が流れてしまうことの多い冒頭部分を生かしきり、話の目的に貢献するようなものにできれば、伝わり方はより一層精度を増していきます。

■最初に問いかけて話に引き込む

 聞き手を惹(ひ)きつけるためにおすすめの「冒頭の工夫」をご紹介しましょう。

 一方的に話さずに、双方向でコミュニケーションが取れるという点で優れているのが「問いかけ・呼びかけ」です。

 問いかけと呼びかけには違いがあります。

 問いかけは、「みなさんは××したことはありますか?」と聞き手の心に問いを立てる方法です。

■日本人の平日の平均話量は「6.1時間」

 例えば、私が携わる「話し方トレーニング」サービスの営業資料ではこのような冒頭があります。

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>6.1時間。この数字はなんだと思いますか?

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 営業先からは、「うーん、難しいですね」と言われたり、「1週間で話している時間の合計ですかね……」などと言われたりします。

 その後、「じつはこちらですが、日本人の平日の平均の話量なんです」と答えると、「ええ、そんなに多いんですね」と反応が返ってきます。

 問いかけには、このように、やり取りを通じて双方が同じ内容に入り込んだ状態で話を進められるというメリットがあります。

■技術に溺れると聞き手に見透かされる

 この冒頭は聞き手とコミュニケーションを取るうえで非常に便利ではありますが、注意すべき点もあります。

 起こりがちなのが、「問いかけのあと、すぐに話し始める」という現象。

 「みなさんは自分の話し方に悩んだことがありますか? 私はもともと……」などと、「?」のあとにすぐに話し始めてしまうと、聞き手が問いを反芻(はんすう)する時間がありません。

 「ああ、工夫しようとして問いを入れただけだな」と見透かされ、むしろ飽きられてしまいます。

 有効活用するには、問いを立てて話す目的に立ち戻り、問いに対して聞き手が考える時間を確保するようにしましょう。