「ターメリック」は市販薬と同じくらい消化不良に効果的!イギリスの研究で明らかに

AI要約

米国人の4人に1人は毎年消化不良になって、ターメリックが市販薬と同様に効果的である可能性が浮上している。

オメプラゾールやクルクミンの摂取による消化不良の治療効果に大きな違いは見られず、ターメリックも有効性が示された。

ターメリックのクルクミン成分は胃炎、痛み、腸内細菌叢の改善に効果的である可能性がある。

「ターメリック」は市販薬と同じくらい消化不良に効果的!イギリスの研究で明らかに

米国人の4人に1人は毎年消化不良になって、腹部の痛みや不快感に襲われる。でも、新たな研究により、人気スパイスのターメリックは市販薬と同じくらい消化不良に効く可能性が見えてきた。

医学専門誌『BMJ』に掲載されたランダム化二十盲検比較試験の論文によると、この試験には機能性ディスペプシア(原因不明の慢性的な消化不良)の患者151名が参加して、1) オメプラゾール(消化不良の治療に用いられるプロトンポンプ阻害薬の一種)の摂取、2) クルクミン(ターメリックに含まれる有効成分)の摂取、3) クルクミン250mg配合のカプセル2錠(1日4回)とオメプラゾール20mg配合のカプセル1錠(1日1回)の併用のいずれかを指示された。

研究チームは治療開始から28日目と56日目に参加者の症状の評価した。その結果、オメプラゾールを摂取した人、クルクミンを摂取した人、この2つの錠剤を併用した人の消化不良の症状に大きな違いは見られなかった。なお、米国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)によると、消化不良の症状には腹痛、胸やけ、上腹部の不快感、食後の膨満感、早すぎる満腹感などが含まれる。

研究チームは オメプラゾールとクルクミンには慢性消化不良に対して「同等の有効性」を発揮すると結論付けた。つまり、この2つは同じくらい効くということ。

慢性的な消化不良は他の消化器系の問題を示唆していることがあり、いま現在その症状に悩まされている人はターメリックの潜在能力に人一倍興味が湧くはず。そこで今回は専門家の見解をまとめてみた。

消化不良の治療にターメリックの有効成分であるクルクミンを使うという考え方は昔からあり、上記論文の共著者で、米ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の非常勤教職員およびチュラーロンコーン大学(タイ)助教授のクリット・ポンピルル医学博士によると、東南アジアでは胃の不快感の治療に長年ターメリックが用いられてきた。

「ターメリックはタイ王国発行の植物療法のリストに含まれていますが、その効果を証明する科学的なエビデンスは依然として不可欠です」とポンピルル博士。

ポンピルル博士によると、タイの伝統医学では、その人の体質(火・地・風・水のエレメント)に基づいて植物を用いた治療を施す。「機能性ディスペプシアの人、その中でも特にガスが多い人は『風のエレメントが不足している』と言われていますが、この状態はターメリックのように“辛み”のある植物で修正することが可能です」

ポンピルル博士いわくターメリックには抗炎症作用があるけれど、それが慢性消化不良に効くという証拠はない。でも、ターメリックで腸内細菌叢の状態が改善し、消化不良の症状が和らぐ可能性はあるのだそう。

クルクミンの作用に関する研究は今日も続いているけれど、米プロビデンス・セントジョン・ヘルスの胃腸科医ルドルフ・ベッドフォード医学博士は、この成分に胃酸の分泌を抑える働きがあると考えている。「何らかの炎症から来る痛みを和らげる目的でクルクミンを使っている人もいます」。つまり、消化不良が原因の腹痛もクルクミンで和らぐ可能性があるということになる。