日欧が共同開発の衛星アースケア打ち上げ…愛称は「はくりゅう」、雲や大気中のエアロゾル観測

AI要約

地球観測衛星「アースケア」が日欧共同開発で打ち上げられた。エアロゾルの観測により気候変動の予測精度向上を目指す。

アースケアはJAXAとESAが開発し、世界初のレーダー搭載で地球の雲やエアロゾルを25日間観測可能。

衛星データを用いて気候変動予測モデルの改良や大気汚染、火山灰監視などに活用が期待されている。

 日欧で共同開発した地球観測衛星「アースケア」が29日、米カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から、米スペースXのロケットで打ち上げられた。雲や大気中を漂う微粒子(エアロゾル)の動きを地球規模で観測し、気候変動の予測精度向上に役立てられる。

 アースケアは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同開発した。重さは約2・3トン、太陽光パネルを開いた状態の長さは17・2メートルあり、竜の尾のような白くて長いパネルの特徴から、JAXAは「はくりゅう」という愛称を付けている。

 衛星は4つの観測機器を搭載し、地球全体の雲やエアロゾルの分布、構造などを25日間かけて詳細に把握できる。中でも、国立研究開発法人「情報通信研究機構」などが開発した機器は、雲を形作る微小な水滴などの粒子の上下方向の速度を測れる世界初のレーダーだ。

 雲は、太陽光を反射して地球を冷やす「日傘」として機能する一方、地表から放出される熱を閉じ込めて地球を温める「毛布」としても働く。

 こうした複雑な仕組みをアースケアの観測データに基づいて解析できれば、気候変動の予測モデルの検証や改良につながる。また、エアロゾルの動きを把握すれば、大気汚染の予測、火山灰の監視などにも利用できると期待されている。