Snowflakeの新CEOが語った「アイコニックカンパニー」への思いとは

AI要約

米SnowflakeのCEOが、AIデータクラウドの重要性と競合相手について語る。

Ramaswamy氏が、AIへの投資とイノベーションを強調し、Snowflakeの将来の展望を述べる。

Ramaswamy氏は、Snowflakeがアイコニックカンパニーになるチャンスを感じている。

Snowflakeの新CEOが語った「アイコニックカンパニー」への思いとは

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、Snowflake CEOのSridhar Ramaswamy氏と、富士通 執行役員副社長 COOの島津めぐみ氏の「明言」を紹介する。

「当社はアイコニックカンパニーになれる大きなチャンスがある」

(Snowflake CEOのSridhar Ramaswamy氏)

 米Snowflakeの日本法人Snowflakeは先頃、プライベートイベント「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO 2024」を都内ホテルで開催した。この機に来日した米国本社 最高経営責任者(CEO)のSridhar Ramaswamy(スリダール・ラマスワミ)氏が、その基調講演でスピーチを行うとともに、その後に記者会見も開いた。冒頭の発言は、会見の質疑応答で競合相手について聞いた筆者の質問に対する返答の中で述べたものである。

 創業12年目を迎えたSnowflakeは、クラウドベースのデータウェアハウス(DWH)およびデータアナリティクスの会社としてスタートし、ここ数年は「データクラウド」というコンセプトを掲げ、データエンジニアリング、データサイエンス、データガバナンス、そしてそれらに関連するアプリケーションやコラボレーション、セキュリティのソリューションなども手掛けている。さらに最近では「AIデータクラウド」を掲げ、AIも積極的に活用。進化ぶりが注目されている。

 2024年2月にCEOに就任したRamaswamy氏は基調講演で、グローバルで同社のサービスを利用する顧客社数が1万社を超え、パートナー企業数も1万社を超えたことを明らかにした。そして、「私たちは今、エンタープライズAIの時代を迎えている。信頼できるAIによってそれぞれの企業が優位性を発揮していく時代だ。AIデータクラウドはそのエンタープライズAIを実現するためのものだ」と強調した。

 Snowflakeはこれからどんなベンダーになろうとしているのか。基調講演や会見の話を聞いていた筆者の頭にはそんな疑問が浮かんできた。そこで、会見の質疑応答で「今のSnowflakeにとって一番の競合相手はどこか。さらに今後、どこが競合相手になりそうだと見ているのか」と聞いてみた。競合相手を聞くことでSnowflakeの立ち位置が見えてくると考えたからだ。これに対し、Ramaswamy氏は次のように答えた。

 「今後、クラウドベースのデータプラットフォームがますます大きな市場になっていくのは明らかだ。そうなると、当然、競合も増えてくる。例えば、データアナリティクスの領域では、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Google Cloudといったハイパースケーラーも当社と競合するサービスを提供している。しかし、一方で当社はこれらハイパースケーラーとも協力関係を築いており、重要なパートナーでもある。さらに、新興企業も続々と成長してきており、市場そのものが活気にあふれてきている状況だ」

 「そうした中で、最も重要になってくるのは、どの競合よりもスピーディーなイノベーターであることだ。そのためには、必要かつ最適なサービスをどんどん提供していかなければならない。実はこの1年ほどを振り返ると、当社はAIの取り組みに対して十分なスピード感がなかったかもしれない。私はCEOとしてその危機意識の下で、AIにしっかりと投資し、注力していく。さらに今後、次のレボリューションがやってきたら、それに対してもどこよりも早くアクションをとっていきたい。そうしていけば、当社はアイコニックカンパニーになれる大きなチャンスがあると考えている」

 冒頭の発言は、このコメントの最後の部分を抜粋したものである。「アイコニック」(iconic)とは、強く印象に残る特徴を持ち、その存在が象徴的であることを指す言葉だ。この一言に、Ramaswamy氏の思いが凝縮されていると、筆者は感じた。