IIJ、みかん・里芋・アボカドの収量向上を目指したスマート農業実装検証を愛媛県で実施

AI要約

IIJは愛媛県の地域課題解決プロジェクトに2024年度も引き続き採択され、みかん栽培と新たに里芋とアボカドの生産技術向上に取り組むことを発表。

2023年度はみかん畑の水分管理をLoRaWANネットワークと土壌水分センサーを活用して実施し、2024年度は里芋とアボカドに拡大。

里芋では連作障害を防ぐためのデータモニタリングを行い、アボカドでは生産技術向上のためにセンサーを設置してデータ収集と分析を行う。

IIJ、みかん・里芋・アボカドの収量向上を目指したスマート農業実装検証を愛媛県で実施

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は17日、2023年度から参画している愛媛県の地域課題解決プロジェクト「愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト(トライアングルエヒメ)」に2024年度も引き続き採択され、2023年8月に開始したみかん栽培の品質・収量向上を目指すプロジェクトに加え、里芋の収量安定化や、愛媛県で生産農家が増えつつあるアボカドの生産技術向上に向けた、スマート農業の実装検証を開始すると発表した。

 2023年度の実装検証では、温州みかん産地の愛媛県真穴(まあな)柑橘共同選果部会(以下、真穴共選)において、それまで経験と勘に基づいて行っていた土壌の乾燥状態の判断と灌水(かんすい)オペレーションの最適化を目的として、みかん畑240ha全体をカバーするLoRaWANネットワークと、120台の土壌水分センサーによるデータ分析基盤を構築し、土壌水分データの可視化を実現した。

 2024年度は、みかんの実装検証を継続するとともに、みかんと同様に適切な土壌水分量の管理が安定した収量確保につながる、里芋とアボカドを対象品目に加え、圃場におけるネットワークとセンサーによるデータ分析基盤の構築およびデータ活用の推進、さらに県内他産地に向けたデータ分析基盤の横展開モデルの構築にも取り組む。

 みかんについては、2024年度は土壌水分量のデータ収集に加え、収集したデータの分析を進めることで、収量・品質の安定化に向けた灌水オペレーションの最適モデルの確立を目指す。

 里芋については、同じ圃場で栽培を繰り返すことで生育不良となり、収量が落ちてしまう「連作障害」を防ぐため、圃場を毎年変更する必要があることから、実装検証においては、圃場(土壌の状態)が変わってもブレが少なく正確な水分を計測できる水ポテンシャルセンサーと、LoRaWANネットワークを組み合わせたデータモニタリングを、周桑地区と今治地区(JAおちいまばり)で進める。

 アボカドについては、松山市農業指導センターが中心となって松山市でのアボカド生産やブランド産地化を推進しているが、国産アボカドについては生産ノウハウが不足しているため、データの蓄積と活用が必須になっていると説明。また、アボカドはみかん同様、土壌水分管理が重要だとして、プロジェクトでは農業指導センターの実証園地と生産者の園地計3カ所にセンサー類を設置し、愛媛CATVのLoRaWANネットワークを活用してデータ収集を行い、アボカドの品質や収穫数などとの関連性を分析することにより生産技術の向上を図る。

 IIJは、ネットワークやクラウド、セキュリティサービスといった自社サービスを活用し、製造業、農業、ホーム・見守りなどの分野でさまざまなIoTサービスやソリューションを提供している。特に農業分野では、2017年から静岡県で実施した水稲栽培のスマート農業技術に関する実証事業をはじめ、そこで得られたLoRaWANの技術的知見やノウハウを生かして、全国の自治体で農業IoTの取り組みを推進している。今後も、積極的にスマート農業プロジェクトに参画し、ICTを活用して地域課題の解決に向けた取り組みを推進していくとしている。