マランツ、最上位SACDプレーヤー「SACD 10」。“コンパクトディスク再生機の集大成”

AI要約

マランツは、最新世代の独自ディクリートDAC「Marantz Musical Mastering」を搭載した、ハイエンド・SACDプレーヤー「SACD 10」を10月下旬に発売する。価格は1,980,000円(税込)で、カラーバリエーションはシャンパンゴールド/ブラックの2カラーをラインナップする。

「MMM-stream」では、オーバーサンプリング/デジタルフィルター/ΔΣモジュレーター/ノイズシェーパー/ディザー/レゾネーターなどの処理を全て自社開発のアルゴリズム、パラメーターで行い、PCM信号をDSD 11.2MHz/1bitに変換している。また、デジタルフィルター/ノイズシェーパーディザー/ディザーは、ユーザーが設定を切り替えられるため、好みに合わせて音色を調整できる。

SACD 10にはUSB-DAC機能が内蔵されており、PCM 384kHz/24bit、DSD 11.2MHz/1bitまで対応する。DSD再生はASIO/DoPをカバー。SACD 10の高品位なマスタークロックを活用したアシンクロナスモードでの再生も可能となっている。

マランツ、最上位SACDプレーヤー「SACD 10」。“コンパクトディスク再生機の集大成”

マランツは、最新世代の独自ディクリートDAC「Marantz Musical Mastering」を搭載した、ハイエンド・SACDプレーヤー「SACD 10」を10月下旬に発売する。価格は1,980,000円(税込)で、カラーバリエーションはシャンパンゴールド/ブラックの2カラーをラインナップする。

マランツの山氏はSACD 10について、「我社はCDプレーヤーに関する技術に自信と誇りを持っている。CD、そしてSACDのオリジネーターであり、Philips社のD/Aコンバーターの遺伝子を受け継ぎ、世界にひとつだけのオリジナルの1bit DACを所有している。さらに世界中のハイエンドブランドに供給しているSACDドライブを自社で開発しており、また伝統のアナログ回路を長年ブラッシュアップし続けている。それらのヘリテージを全てアップデートし、最高の筐体に収めた“コンパクトディスク再生機の集大成”である」と説明した。

最上位モデルとして理想のサウンドを追求すべく、完全マランツオリジナルのディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering(MMM)」の最新バージョンを搭載していることが最大のトピック。SACDプレーヤー「SA-7S1」や「SA-11S3」で使用されたオリジナルデジタルフィルターをさらに進化させたデジタル処理を請け負う前段部「MMM-stream」、DSD信号をアナログ変換する後段部「MMM-conversion」によって構成されている。

「MMM-stream」では、オーバーサンプリング/デジタルフィルター/ΔΣモジュレーター/ノイズシェーパー/ディザー/レゾネーターなどの処理を全て自社開発のアルゴリズム、パラメーターで行い、PCM信号をDSD 11.2MHz/1bitに変換している。また、デジタルフィルター/ノイズシェーパーディザー/ディザーは、ユーザーが設定を切り替えられるため、好みに合わせて音色を調整できる。

「MMM-Conversion」は、「MMM-Stream」から入力された1bit DSD信号を、アナログFIRフィルターによってダイレクトに、シンプルな回路でD/A変換を行えるため、原音に忠実なアナログ信号を得られるとしている。

デジタル基板の「MMM-stream」とアナログ基板の「MMM-Conversion」とで、ディスクリート構成できる点も大きなメリットであり、その間をデジタル・アイソレーション回路で繋げる仕組みにすることで、デジタル/アナログステージの徹底的な分離を実現している。また従来まで4層基板だったが、デジタル/アナログ基板の両方で8層基板にブラッシュアップされている。

回路基板や高音質パーツの選定も、開発陣で自由に選定できたことも高音質化に大きく寄与している。DフリップフロップというバッファーICを、従来機で使用されていた8ch・1個から、1ch・8個へと変更し、完全に分離して使用。出力電流が8mAから3倍の24mAに増え、さらに抵抗値が1/3となったことで、強力なドライブ力を優れたS/Nを両立させている。

ディスクドライブには、自社開発の高音質オリジナル・メカエンジン「SACDM-3」を搭載。ピックアップの制御とデコードを行う回路を最短・最小化しているため、余分な電流やノイズの発生を抑制している。基板上の高音質パーツもサウンドマスターによって吟味されたものを採用している。

剛性の高いスチールシャーシとアルミダイキャストトレーを投入することで、ディスクの回転で発生する振動を抑え、データの読み取り精度を向上させている。メカベースにはアルミ押し出し材を使用しており、3重構造のボトムシャーシに強固に固定することで、優れた制振性を叶えている。ディスクの回転による振動はもちろん、外部振動による悪影響も低減している。また、サーボへの負荷やエラー訂正処理も軽減することで高音質化に繋げている。

1bit DAC「MMM」は、ジッターの影響に敏感だが、MODEL 10では「超低位相雑音クリスタルクロック」を搭載することで、ジッターによる音質への影響を排除し、明瞭な定位と見通しの良い空間表現を成し得ているという。「SA-10」と比較しても、位相ノイズが15dB改善されている。

「MMM-Stream」以降のアナログステージは、フルバランス・ディファレンシャル構成のオーディオ回路を採用しているが、そこに独自高速モジュール「HDAM」と「HDAM-SA3」の最新型を随所に導入して、全てをディスクリート構成としている。同時に純銅製フィルムを用いた高音質コンデンサーやメルフ抵抗などを用いることで、妥協のないアナログオーディオ回路を実現している。

「MMM-Stream」からの出力を受ける初段のユニティゲインバッファーと2段目のディファレンシャルアンプには電圧帰還型回路を採用し、それぞれにHDAMとHDAM-SA3を使用。最新型のHDAMは、入力にJFETカスコードデバイスを追加することで、さらなる低歪み化を成し得ている。加えて2in1パッケージのトランジスタを用いることで動作の安定性も向上させているとする。

HDAM-SA3には、従来と同一の回路構成ながら、低ノイズ・低歪みのトランジスタを使用して、従来以上の高音質化を果たしている。、左右チャンネル間の干渉、「MMM-Conversion」 からのスイッチングノイズの影響を排除するために、銅メッキ鋼板によるシールドを設けている。

SACD 10では、アナログオーディオ用電源回路とデジタルオーディオ用電源回路を完全に独立させた回路設計を採用することで、クリーンかつハイスピード、余裕のある電源供給によって安定した音楽再生を可能としている。

アナログオーディオ用/デジタルオーディオ用のそれぞれに専用のトロイダルトランスとカスタム・ブロックコンデンサーを導入しているため、安定した電源供給を可能としており、併せて電源回路をトランスから完全に分けることで、電源トランスを介したアナログオーディオ回路へのノイズの流入も排除している。

各トロイダルトランスは、銅メッキシールドケースでカバー。不要輻射を抑え、外部からのノイズの飛び込みに配慮している。また、アナログオーディオ用/デジタルオーディオ用のどちらも、サウンドマスターと音質担当エンジニアがサプライヤーと共同開発した、マランツ専用のカスタム・ブロックコンデンサー(10,000μF×2)も採用する。

本モデルでは、電流帰還型のフルディスクリート・ヘッドホンアンプを内蔵。3段階のゲイン切り替え機能も備えている。HDAM-SA3と従来機種で定評のあるダイヤモンドバッファーを組み合わせた回路構成で、オペアンプを使用しないフルディスクリート構成を用いることで、きめ細かい音質チューニングが可能となった。

エンクロージャーの高剛性化のため、12mm厚の非磁性体のアルミニウムトップカバーをはじめ、最大45mm厚の切削加工のアルミニウムを立体的なパターンが美しいフロントパネルに、そしてサイドカバーも最大15.8mm厚のアルミニウム製を採用している。ハイエンド・オーディオコンポーネントとしての審美性を高めるだけでなく、正面から側面までネジが見えないデザインや、振動低減からナチュラルな空間表現の実現に寄与している。

メインシャーシには1.2mm厚の銅メッキ鋼板を用いており、デジタルオーディオ回路/アナログオーディオ回路/電源回路を各専用スペースに隔離し、回路間の干渉を排除。3.2mmと1.2mmのボトムプレートを追加した3層構造にすることで、圧倒的な高剛性を確保している。また、インシュレーターには、アルミニウムの無垢材と銅板を組み合わせたハイブリッド型を搭載する。

アンバランス・アナログ音声出力には、純銅削り出しのピンジャックを採用することで、再生音に力強さと安定感をもたらしているとのこと。純銅削り出しは、一般的な真鍮に比べて硬度が低く、機械加工が難しいため、熟練工がひとつひとつ手作業で切削加工して生産している特注品だという。

表面処理には、一般的なニッケル下地+金メッキの2層ではなく、厚みのある1層のニッケルメッキを採用。サウンドマスターによるリスニングテストの結果で導入されてたとしている。同軸デジタル入力/出力端子には、真鍮削り出しの金メッキ端子を使用している。

SACD 10にはUSB-DAC機能が内蔵されており、PCM 384kHz/24bit、DSD 11.2MHz/1bitまで対応する。DSD再生はASIO/DoPをカバー。SACD 10の高品位なマスタークロックを活用したアシンクロナスモードでの再生も可能となっている。

USB-B入力は、接続したPCから入ってくる高周波ノイズを排除するために、アイソレーション回路が採用されている。ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介し、磁気によりデータ転送を行うことで、入力側と出力側を電気的に絶縁した状態にすることができる。リレーによってグラウンドも分離、ノイズの回り込みも防止する。

光デジタル音声/同軸デジタル音声入力は、PCM 192kHz/24bitに対応。テレビやメディアプレーヤーと接続した場合でも、SACD 10のDAC品質を楽しむことができる。USBメモリーの再生では、PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHz/1bitをカバーする。

主な入出力端子は、XLR音声出力×1基(バランス)、RCA音声出力×1基(アンバランス)、光デジタル音声出力×1基、同軸デジタル音声出力×1基、ヘッドホン出力×1基(6.3mm)、光デジタル音声入力×1基、同軸デジタル音声入力×1基、USB-A×1基、USB-B×1基を搭載。

SACD 10の仕様は、再生周波数特性が2Hz-20kHz(CD)/2Hz-50kHz(SACD)、S/N比が116dB(CD)/118dB(SACD)、ダイナミックレンジが98dB(CD)/112dB(SACD)、高調波歪率が0.0015%(CD・可聴帯域)/0.0004%(SACD・可聴帯域)、出力レベルが2.0V(CD・アンバランス)/4.0V(CD・バランス)/130mW(CD・ヘッドホン)/2.5V(SACD・アンバランス)/5V(SACD・バランス)/130mW(SACD・ヘッドホン)、消費電力が55W(待機時 0.3W)、外形寸法が440W×192H×442Dmm、質量が33.0kg。