スペースワン、「カイロス」2号機を12月に打ち上げ–民間単独での衛星軌道投入に再挑戦

AI要約

民間企業のスペースワンが独自ロケット「カイロス」2号機の打ち上げを12月中に予定しており、日本政府以外の小型衛星とキューブサットを軌道投入する計画を発表。

初号機の打ち上げ失敗原因は自律破壊で、第1段の推力が不足していたことが判明。2号機では設計変更はなく、飛行正常範囲を見直して再挑戦をする。

失敗を受け止めつつ、前を向く姿勢が重要であり、他の企業も失敗を経験したことを振り返り、次に繋げる姿勢が求められている。

スペースワン、「カイロス」2号機を12月に打ち上げ–民間単独での衛星軌道投入に再挑戦

日本初となる民間企業単独での衛星打ち上げに挑む「スペースワン」は、独自ロケット「カイロス」2号機を12月中に打ち上げると発表した。1号機は政府の衛星を搭載していたが、2号機では日本政府以外の小型衛星1機と3Uキューブサット4機の合計5機の軌道投入をめざす。

 スペースワンは8月13日にカイロス初号機を打ち上げたが、5秒後に爆発した。その原因は機体自身が異常を検知したことによる自律破壊だった。

 今回の発表によると、自律破壊の原因は、打ち上げ前に固体燃料サンプルを分析した際の予測よりも、第1段の推力が数%ほど不足していたことだった。自律破壊とならなければ正常に飛行し続けた可能性が高かったが、自律飛行システムを初めて運用するなかで、飛行正常範囲を厳しく設定していたことが仇となった。

 そのため、2号機では1号機から設計変更はなく、飛行正常範囲を見直すことで、再度の打ち上げに挑む。固体ロケットモーターや推進剤にも設計変更は一切ないとしている。

 カイロス1号機の打ち上げ失敗をめぐっては、東京大学大学院 工学系研究科で教授を務める中須賀真一氏が「失敗はしっかり受け止める必要があるが、失敗でめげていてはプロジェクトが止まってしまう。前を向く必要がある。SpaceXも2006年の打ち上げ当初は年間に3回も4回も失敗している。失敗を乗り越えて次に繋げなければならない」と激励していた。

 また、内閣府の宇宙開発戦略推進事務局で参事官を務める山口真吾氏も「これまで巨大技術で失敗すると批判や足を引っ張ることが多かったが、先日のカイロスの場合は、もちろん批判の声もあったが、おおむね『次の挑戦に向けて頑張れ』というメッセージがSNSを含めて多かったと理解している」と述べていた。