ゲリラ豪雨を9割以上予報する。ウェザーニュースの「裏側」支える秘密兵器

AI要約

ゲリラ豪雨の予測が難しい背景とその重要性。

ウェザーニューズの取り組みや挑戦、そしてゲリラ雷雨アラーム。

気象予報の限界とウェザーニューズの取り組みの意義。

ゲリラ豪雨を9割以上予報する。ウェザーニュースの「裏側」支える秘密兵器

ジリジリと照り付ける太陽の日差しが強くなったかと思えば、突如降り出す大雨──。

かつては夕立と呼ばれ、夏の風物詩だったゲリラ豪雨。

最近では、都市部において短時間に大雨が降ると排水が間に合わなくなり、川や用水路の増水リスクや、道路の冠水、地下街への雨水の流入などが起きやすくなるなど、災害として捉えられることが多くなっている。2024年7月・8月にも、1時間に約100mm前後の猛烈な雨が関東圏を何度も襲った。

ゲリラ豪雨の予測は、非常に難しい。

民間気象会社大手のウェザーニューズでは、1km四方の細かな区画ごとに、ゲリラ豪雨の発生を予測。2012年以降、90%以上の捕捉率※を誇る。その精度の秘密を、ウェザーニューズ予報センターで予報業務を行う、気象予報士の宇野沢達也氏に聞いた。

※捕捉率:発生したゲリラ豪雨を予報していた割合。

夏によく見られる「入道雲」は雨をもたらす積乱雲だが、中でも雲ができはじめてから一気に発達する直径数kmから十数kmの小型の積乱雲によってもたらされる突発的に降り注ぐ大雨をゲリラ豪雨という。

こういった突然発生する小さなスケールの現象を予測することは、非常に難しかった。

ウェザーニューズがゲリラ豪雨の予報を始めたきっかけは、2008年の7月に神戸市を流れる都賀川で起こった水難事故。

当時、上流に降ったゲリラ豪雨によって川が増水、水位が10分間で1.3mも高まり、児童ら5人が流されて亡くなった。それまで気象関係者の間では「ゲリラ豪雨の予測は不可能」と認識されていたというが、この事故をきっかけにゲリラ豪雨予測への挑戦が始まった。

ウェザーニューズでは、毎年7月頃~9月末に専任の担当者を配置。天気予報アプリの「ウェザーニュース」内で、有料会員向けに「ゲリラ雷雨アラーム」を提供。天気の急変を知らせている。

一般的に、天気予報では「明日の〇時〇分に〇〇県〇〇市〇〇町で大雨が降るでしょう」と、時間・場所・雨量の全てを精密に予報することは難しい。できてもせいぜい、「大気の状態が不安定なので、ところどころで大雨・突風・落雷があるでしょう」という解像度の予報を当日の朝に出せるくらいだ。

気象庁が公開している気象レーダー画像などをもとに、雨が降る場所を予測することもできなくはないが、気象レーダーは雨が降らないと雨雲を検知できない。何もない場所で突如雨雲が発生するゲリラ豪雨を捉えることは難しく、ウェザーニューズが挑戦しているのは、まさにこの予報の限界だ。