低料金プラン、競争激化 携帯大手3社4~6月期にも影響 ソフトバンク、PayPay営業益が大幅改善

AI要約

携帯電話大手3社の2025年3月期第1四半期連結決算を振り返ると、KDDIとソフトバンクは増収・営業増益を達成した一方、NTTドコモは携帯事業の収益減で増収・営業減益となった。激化する低料金プラン競争やポイントプログラムでの顧客獲得競争が業界を席巻している。

KDDIは通信事業や成長領域の伸びを背景に増収・営業増益を達成。DXや金融分野での好調な展開が記録され、特にマルチブランド通信ARPU収入の増加に注目が集まった。

ソフトバンクは新たな記録を打ち立て、携帯電話事業やエンタープライズ、メディア・EC事業で増収・営業増益を実現した。特にPayPayの成功など、多角的な事業展開が功を奏している。

低料金プラン、競争激化 携帯大手3社4~6月期にも影響 ソフトバンク、PayPay営業益が大幅改善

 携帯電話大手3社の2025年3月期第1四半期(4~6月)連結決算が出そろった。KDDIとソフトバンクは増収・営業増益、NTTドコモは携帯事業の収益減で増収・営業減益となった。主力の携帯電話事業で低料金プランの顧客獲得競争が激化。携帯電話の利用者をポイントプログラムで囲い込み、「経済圏」を広げる争いが一層過熱している。

 KDDIは、本業の通信事業がプラスに転じたほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)や金融などの成長領域が伸び、増収・営業増益。携帯電話は、マルチブランド通信ARPU(1契約当たりの平均売上高)収入で前年同期比29億円の増益となった。楽天からのローミング(相互乗り入れ)収入は同62億円減だった。

 注力領域のDXは人工知能(AI)対応のビジネスプラットフォームや物流、BPO(業務アウトソーシング)が伸長し同54億円の増益。金融事業は、通信事業との相乗効果を狙ったサービス「auマネ活プラン」の契約数が100万件を突破するなど好調で同46億円の増益となった。

 高橋誠社長は「付加価値サービスを拡充し通信の成長にも貢献させていきたい」と語った。

 ソフトバンクは、売上高、営業利益とも第1四半期として過去最高を記録。主力の携帯電話を含むコンシューマ事業は、通信料値下げの影響から脱却し増収・営業増益となった。スマートフォンの契約数は前年同期から4%増加し132万件増の3090万件だった。

 エンタープライズ事業はソリューションサービスが伸びて増収・営業増益。LINE・ヤフー事業を含むメディア・EC事業も増収・営業増益で、ファイナンス事業もPayPayの営業利益が大幅に改善し初の営業黒字を計上した。

 宮川潤一社長は「今後は収益の柱として大変期待している」と強調した。

 NTTドコモは増収・営業減益。携帯電話事業を含む柱のコンシューマの営業収益(売上高)は前年同期比2.5%増の1兆989億円。営業利益は、d払いアプリといった金融・決済などのスマートライフは126億円の増益だったが、モバイル通信サービスの収入減と販売強化施策費の増加でコンシューマ通信が276億円の減益となり、同6.8%減の2067億円だった。

 法人事業は、PSTN(公衆交換電話網)のマイグレーションに伴う費用増などで74億円の減益となり、営業収益は同1.7%減の4303億円、営業利益は同3.2%減の687億円となった。