固定・携帯の収益減が響く…NTT、4―6月期決算の全容

AI要約

NTTは収益力強化に向けた取り組みを進めており、2024年4-6月期の連結決算では増収減益の結果となった。固定通信および携帯通信の収益減が影響し、NTT東西も減収営業減益だった。しかし、設備保守費用の低減や顧客基盤強化に注力することで業績改善を図っている。

NTT東西の固定電話契約数は減少傾向にあり、ユニバーサルサービス維持のため設備保守費用がかさんでいる状況だ。業務効率化やAI活用が進められているが、NTT法の見直しが今後の業績に影響する。

NTTドコモでは携帯通信シェアの減少が課題となっており、アハモなどの新サービスや顧客対応の改善を図っている。携帯と金融決済サービスの連携強化も重要視されている。

固定・携帯の収益減が響く…NTT、4―6月期決算の全容

NTTが収益力強化に向けた土台整備を進めている。2024年4―6月期連結決算(国際会計基準)は、増収営業減益。NTT東日本、NTT西日本の固定通信やNTTドコモの携帯通信の収益減が響いた。ただ、NTT東西では設備保守費用低減につながる不要資産の撤去が進んでいる。ドコモは顧客基盤の強化に注力することで巻き返しを図る。(編集委員・水嶋真人)

地域通信を担うNTT東西はいずれも減収営業減益だった。NTT東西の固定電話契約数(加入電話とINSネットの合計)は6月末時点で前年同月末比8%減の1219万件と減少し続けている。

固定電話は全国あまねく提供する義務があるユニバーサル(全国一律)サービス。申し込みから約1週間で開通させるという、約6000万件の利用があった90年代のピーク時と同じサービス体制を維持するため、設備保守費用がかさみ「(年間)約600億円の赤字になっている」(島田明NTT社長)。不要資産の撤去に加え、人工知能(AI)の活用による業務効率化も進めているが、固定電話の扱いを現状に合った形に変えるため、NTT法などの見直し議論の行方が今後の業績改善のカギを握る。

一方、NTTグループの稼ぎ頭であるドコモでは携帯通信シェアを減らし続けている。島田社長は「そろそろ限界だと思う。シェアをしっかり守るような対策を打たなくてはいけない」と指摘する。

オンライン申し込み専用携帯料金プラン「アハモ」の契約者がドコモショップや量販店で携帯端末を買い替えられるサービスを今月から始めた。人口集中地域でつながらないイメージの払拭に向け役員自らが東京に続き、名古屋や大阪で実地調査するなど顧客ニーズに合った対応や通信品質の改善、マーケティングの強化を進める。

携帯と金融決済サービスの連携強化も欠かせない。前田義晃ドコモ社長は24年度中にも銀行業への参入にめどをつける考えを示している。島田社長も「総合金融サービスで必要となる要素は一段と強化する」と述べた。