楽天、Q2売上高は過去最高--楽天モバイルのグループ内貢献は年間400億円、PMCFは黒字化達成

AI要約

楽天グループの2024年12月期第2四半期決算が発表された。売上高や営業利益が大幅に増加し、フィンテックやインターネットサービスの成長が目立つ結果となった。

楽天モバイルの契約回線数や取引高が増加し、黒字化を達成。グループ全体への利益貢献も期待される。

NTT法の廃止に強く反対する姿勢を示し、楽天グループの今後の展望も述べられている。

楽天、Q2売上高は過去最高--楽天モバイルのグループ内貢献は年間400億円、PMCFは黒字化達成

 楽天グループは8月9日、2024年12月期第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比8.1%増の5373億円。営業損益は183億円、連結Non-GAAPでは118億円となり、前年同期比で276億円を改善した。連結のEBITDAは前年同期比で98.6%増となる668億円の黒字、非金融事業に限っても99億円の黒字となった。

 楽天グループ 代表取締役会長兼社長 最高執行役員を務める三木谷浩史氏は「(Q2では)過去最高の売り上げの計上となった。インターネットセグメント、海外ECコンテンツ事業における顧客基盤はさらに拡大して増収に大きく寄与し、フィンテックセグメントの各事業もとても好調。契約回線が増えているモバイルセグメントは156億円の増収となった」と話す。

 また、8月8日に発表した楽天モバイルの通信設備の一部を売却するセール・アンド・リースバックの形態で1500億~3000億円規模の資金調達が可能になる件にふれ、「モバイル事業のセルフファンディングを確立し、財務状況は飛躍的に改善している」(三木谷氏)と加える。

増収増益のインターネットサービス、ふるさと納税への対応も継続

 それぞれのセグメントごとでは、「楽天市場」などをはじめとする国内ECなどを分類するインターネットサービスセグメントの売上高が、前年同期比3.1%増の3039億円、Non-GAAP営業利益は30.3%増の189億円と増収増益で着地した。

 2023年に実施された全国旅行支援の2024年の不実施、12月に実施したポイントアッププログラム「SPU」の改定などの影響を受け、国内ECの流通総額は4.8%減。一方で、楽天西友ネットスーパーの完全子会社、物流事業の運用の改善と価格設定の適正化などで国内ECの成長投資ビジネスにおける収益性を改善し、楽天市場の流通総額成長率は前四半期から順調に回復しているという。

 広告事業における売上高も、前年同期比8.4%増の増収としている。

 海外事業では、デジタルコンテンツを中心に利用者数が拡大し、収益性を大幅に改善。通話&メッセージアプリ「Rakuten Viber」は売り上げが増え、「Rakuten Kobo」は新発売のカラー対応端末が好調。配信サービス「Rakuten Viki」「Rakuten TV」を加えた海外4事業の合算営業利益は27億円の大幅改善となり、四半期黒字化を達成している。

 また、ふるさと納税へのポイント付与禁止の撤回を求める署名が200万人を超えたことを明かし、引き続き総務省に撤回を求めていくことを再表明した。

フィンテックも増収増益、各事業で顧客基盤と取扱高が拡大

 フィンテックセグメントにおける売上高は、前年同期比12.0%増の2027億円、Non-GAAP営業利益は28.1%増の423億円と増収増益。各事業において顧客基盤と取扱高が引き続き拡大したという。

 「楽天カード」は、会員基盤と客単価の拡大によりショッピング取扱高が前年同期比13.9%増の5.9兆円へ増加するなど、二桁増益を達成。

 「楽天銀行」の単体口座数は7月29日時点で1600万口座に到達。メインおよび生活口座化が進んで預金残高が増加し、6月末時点の単体預金残高は前年同期比15.3%増の10兆9000億円と堅調に拡大した。資金運用収益が伸長し、大幅な増収増益になったとしている。

 「楽天証券」でも、継続的な顧客基盤の拡大により、各種取引が好調。証券総合口座数は6月末時点で前年同期比22.7%増の1133万口座、利益も手数料無料化の直前期を上回り、前四半期対比で増収増益、過去最高収益を記録したという。

 「楽天ペイメント」は、「楽天ペイ」「楽天キャッシュ」を中心に取扱高が拡大して増収。第2四半期のNon-GAAP営業利益は前年同期比39億円増の12億円で、第1四半期に引き続き営業黒字化を達成している。

改善進む楽天モバイル、グループ内貢献は四半期あたり100億円--NTT法堅持を再強調

 モバイルセグメントにおける売上高は、前年同期比18.6%増の950億円と増収。「楽天モバイル」の契約回線数増に伴うMNOサービスの収益が拡大し、Non-GAAP営業損失では前年同期比218億円の改善となる606億円だったという。

 楽天モバイル単体で見ると、契約回線数の増加およびARPUの上昇により、売上高は前年同期比29.9%増の679億円と増収。継続的なコスト削減も貢献し、Non-GAAP営業損失は前年同期比194億円の改善となる595億円、EBITDAは前年同期比226億円の改善となる202億円の赤字となった。

 契約回線数は、エコシステム経由の獲得が好調で、個人向けを中心に伸長。全契約回線数が8月7日時点で770万回線を超え、BCP回線を除くMNOおよびMVNEを合わせた契約回線数は726万回線としている。

 2024年第2四半期の契約回線数に限ると、個人向けの増加幅が過去最大の61万回線。中でも番号をそのまま引き継ぐMNPが純増しているとし、「ARPUの上昇にも寄与する、メインで楽天モバイルを使っていただけている人たちということになると思う。重要なデータと捉えている」(三木谷氏)。調整後のMNO解約率は1.04%と継続的に減少しており、データを軸にARPUも着実に上昇していると説明する。

 また、6月に商用サービスを開始したプラチナバンド、全国の5G基地局のソフトウェアのアップグレードなどの通信品質向上を継続させ、「『ちゃんとつながる、よくつながる楽天モバイル』から、『最もつながる最強楽天モバイル』ということで取り組んでいく」(三木谷氏)と話した。

 なお、顧客の獲得やリテンションするための費用を除く「PMCF」(プレマーケティングキャッシュフロー)で見ると、既に楽天モバイルの黒字化は達成したという。契約者を非契約者と比べた場合は契約後2年間の利用サービス数に2.45サービスの差があり、具体的には楽天市場における一人当たりの年間取扱高が49.7%、楽天トラベルでは12.0%、楽天カードでは25.9%の差になるとし、グループの流通総額の押し上げに貢献していることを明かす。

 「楽天モバイルがグループの顧客価値を向上させている。グループ全体への利益貢献は、四半期あたりで100億円、年間で400億円を上回ると捉えている。今後は1000億円、1500億円、2000億円と増えていくはず」(三木谷氏)

 なお、携帯キャリア3社をはじめとする180以上の通信事業者が反対を表明しているNTT法の廃止について、「今後もNTT法を強く堅持」(三木谷氏)する立場を取り、引き続き反対していくと加えた。