イラストレーターと二足の草鞋! 移住×キッチンカー開業というダブルのライフシフト

AI要約

東京から生まれ故郷の石川県へ移住し、能登半島地震をきっかけにキッチンカー営業を始めるイラストレーターなとみみわさんの挑戦を追いかける。

移住のきっかけやキッチンカーの夢、車両購入からデビューまでの道のり、そして挑戦の中で得た成果や課題について紹介。

息子と共に生パスタメニューを提供し、初のイベントで営業した経験を通じて得た学びと楽しさ、今後の展望について詳細に描かれている。

イラストレーターと二足の草鞋! 移住×キッチンカー開業というダブルのライフシフト

家族とのエピソードを発信するブログのほか、雑誌や書籍、WEBでイラストや漫画を手掛け、多くの著書も持つなとみみわさん。そんな彼女が長年暮らした東京から生まれ故郷の石川県へと移住。さらに能登半島地震をきっかけに、キッチンカー営業を始めることを決意。ご本人の話も交えながら、そのチャレンジの様子を追っかけて行く。

雑誌や書籍、WEBでイラストや漫画を手がけ、コミックエッセイ「ばあさんとの愛しき日々」などの著書や、家族とのエピソードをつづるブログ「あっけらかん」も好評のなとみみわさん。23年3月に母の近くに住もうと出身地である石川県へ東京から移住、さらには一人息子と共にキッチンカーにチャレンジするという。イラストレーターとしての仕事も精力的にこなしながら、24年9月より営業をスタートすべく奔走する彼女に、今回のライフシフトについて話を聞いてみた。キッチンカーを始めることになった経緯から準備中のあれこれ、そして始動にいたるまでを3回にわたって紹介する。

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生まれ故郷である能登が大きな被害を被災地でキッチンカーができたら!

なとみみわさんがブログでもおなじみの息子・ブルースくん、愛犬・りくと一緒に、石川県の金沢市近くに移り住んだのは23年3月のこと。53歳にして、住み慣れた東京を離れることにしたのはなぜだったのだろうか。

「花の都に憧れて18歳で石川県から上京し、それから35年間東京で生活しましたが、家賃も高いし、フリーランスだし、正直しんどいな~と感じていたんです。ある日ケアハウスに入居している母が施設を出て、姉夫婦と同居するという話を聞きまして。母と暮らすのもこれが最後かもということで、思い切って石川県に帰ろうと。金沢市から程近い姉の家の近くに部屋を借りて、一人息子と愛犬と移り住んだのですが、結局母は施設から出てこない。〝同居するする詐欺〟に引っ掛かってしまいました(笑)」

移住をして迎えた初めての正月、なとみさんは息子、愛犬と共に富山県に向かっている途中、石川県を中心に大地震が発生したことを知る。自身の住まいをはじめ、母親も姉夫婦もみんな無事ではあったが、故郷である能登の被害は甚大だった。その時の様子をブログでも「親戚や同級生が家の倒壊、半壊、ガラスや食器が割れてとても危険で家の中にはいれず、車中泊、避難所で過ごしています。本当にきついと、言っています」とつづっている。その後、能登へと足を運び、生まれ育った家が倒壊を免れたのを確認できたそう。

「久しぶりに帰った故郷で、久しぶりに見るお祭り、優しく迎えてくれる年老いた親戚、相変わらずな同級生、寂しそうな実家、懐かしい町並みを見て一気に故郷が恋しくなり。実家をリフォームして、能登に移住することにしました」

すでに誰も住んでいなかったというなとみさんの実家はやや古く、特にキッチンや浴室、トイレなど水回りは手を加える必要があるということで現在リフォームが進行中。そして、そんな能登への移住と共に決意したのが、かねてからの夢だったというキッチンカーの営業だ。

「以前から、車で日本中を旅したいな~、でもスナックもやりたいな~という夢があったんです。だったら、旅するスナックでもいいんじゃない?と(笑)。将来はキッチンカー『スナックなとみん』をしたいんだと息子に話したら、調理師の免許を持っている彼も『やりたい!』となって。昼は息子が、夜は母がという2部構成でやろうと話がどんどん進んでいきました。また、能登の地震のこともあって、キッチンカーがあったら何かと役にたつかもしれないと思い、まずは車両を購入することにしたんです」

息子のブルースくんが好きな芸人がキッチンカー営業をしており、埼玉県・美女木にあるオリジナルキッチンカー製作会社「ビーステージ」で車両を購入したという話をキャッチ。現地まで行き、2回目の訪問で早くもキッチンカーの購入を決めたそう。

「購入したのが2月11日で、偶然にも私の54歳の誕生日でした(笑)。今、内装が完成した状態で、このあと外装など進めてもらい、納車は8月末の予定です。並行して営業許可やいろいろと手続きがあるのですが、そのあたりは息子とキッチンカー屋さんにお任せしています」

自信作の生パスタメニューを携えてチャレンジキッチンカーとして挑むも!?

キッチンカーを始めるにあたってのメニューは、ブルースくんがパスタ好きということ、なとみさんもそのおいしさに感動したということもあって生パスタに決定した。そして、車両を購入した「ビーステージ」が主催するプチマルシェに、チャレンジキッチンカー「BBキッチン」としてデビューすることに。

「当日は友達、読者さん、お仕事関係の方、たくさん来てくれて、用意したパスタは完売。評判もよかったんですが、もう、頭で考えるのと実際やるのとでは、こうも違うのか!と。心が3回は折れました(笑)。見るに見かねて、友達が手伝ってくれて、そのおかげでなんとか乗り越えた感じです。本当に大変でしたが、その反面ですごく楽しかったなと。改良点もかなり発見できたし、生パスタでいいのか?という考えにもいたり、実りの多い体験でした。まずはチャレンジキッチンカーとしてやれてよかったです」

「段取りが悪く、すごくお待たせしちゃいまして」と、少しでも早く提供することが課題だと話すなとみさん。いかに時間を短縮できるか試行錯誤しているほか、メニューの見直しなども考えているという。また、オリジナルキッチンカー製作会社から「SNSを駆使したほうがいい」というアドバイスをもらい、YouTube で「BBチャンネル」も開設。本格的なキッチンカー始動に向けて、やるべきことは盛りだくさんだという。これからどうなっていくのか、気になる今後は第2回をお楽しみに!

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文● 杉山幸恵