シンスペクティブ、小型SAR衛星「ストリクス」の軌道投入に成功–ロケットラボが打ち上げ

AI要約

Rocket Labは現地時間8月3日、「Electron」ロケットで日本のSynspectiveの合成開口レーダー(SAR)衛星を打ち上げた。衛星は軌道投入に成功し、通信は正常に機能し、制御可能であることが確認されている。

今回の打ち上げはRocket Labにとって51回目であり、Synspectiveが自社で開発する小型SAR衛星「StriX」シリーズの5機目の軌道投入を達成した。

Synspectiveは、今回の打ち上げで高分解能のSAR画像取得に成功し、将来的には衛星コンステレーションの構築や複数の地上観測サービス提供を計画している。

シンスペクティブ、小型SAR衛星「ストリクス」の軌道投入に成功–ロケットラボが打ち上げ

Rocket Labは現地時間8月3日、「Electron」ロケットで日本のSynspective(東京都江東区)の合成開口レーダー(SAR)衛星を打ち上げた。衛星は軌道投入に成功し、通信は正常に機能し、制御可能であることが確認されている。

 「Owl For One, One For Owl」と名付けられた、このミッションは、ニュージーランド・マヒア半島のRocket Labの射場から打ち上げられた。打ち上げはもともと7月30日が予定されていたが、悪天候のために延期されていた。今回の打ち上げはRocket Labにとって51回目。

 予定通りの軌道に投入された、Synspectiveが自社で開発する小型SAR衛星「StriX」シリーズの5機目は、今後数カ月をかけて、観測やデータ取得をはじめとする機能検証を進める予定。

 SynspectiveとRocket Labは、今回の5機目とその次の6機目を打ち上げることで契約している。これとは別に、ElectronでSynspectiveの衛星10機を2025~2027年に打ち上げることで合意している。

 Synspectiveによれば、今回打ち上げられたStriXは、第3世代の初号機という。SARセンサーをアップグレードして、高分解能化を図っていると説明。5機目は傾斜軌道に投入された。傾斜軌道を周回することで低緯度や中緯度地域の人口密集域に撮像リソースを集中、需要の高い地域をより高頻度な衛星データを取得できるという。

 衛星が撮像する方向や角度、陸域の傾斜勾配などから「不可視領域」が発生してしまうが、今回の傾斜軌道と運用中の太陽同期軌道(SSO)を組みあわせることで、東西南北の4方向から撮像することで不可視領域を避ける撮像の組み合わせを選択できるようになると説明している。

 StriXシリーズでは、日本最高という分解能25cmのSAR画像取得に成功している。

 StriXシリーズは、これまでに2020年12月に技術実証機「StriX-α」、2022年2月に技術実証機「StriX-β」、2022年9月に初の商用実証機「StriX-1」、2024年3月に4機目の「StriX-3」が打ち上げられ、いずれも軌道投入に成功している。

 今回の打ち上げは前回から5カ月という短期間での実施になる。近日稼働予定という新工場での多機生産能力に加えて、短期間での打ち上げ能力を実証することでコンステレーション整備段階が本格化していることを示せるとしている。

 Synspectiveは、StriXから得られるデータを販売するとともに、多様な衛星やIoTのデータなどを機械学習やデータサイエンスを組み合わせた、さまざまな地上観測サービスを提供している。高頻度観測を可能にするため、2024年以降に6機、2020年代後半に30機体制の衛星コンステレーションを構築する計画。

 StriXシリーズは、重さが従来の大型SAR衛星の約10分の1である100kg級、開発と打ち上げの費用が大型SAR衛星の約20分の1という。大型SAR衛星と同等に近い性能ながら小型化、軽量化で低価格化を図っているとしている。