極私的パーツ名鑑⑨~⑫【自作PC史&極私的パーツ名鑑】

AI要約

AMD Athlon ThunderbirdはSocketAにフォームチェンジし、フルスピードキャッシュの統合でパワーアップしたが、ヒートスプレッダがなくコアが露出しており、過熱やコア欠けに悩まされた

ATI ALL-IN-WONDER RADEONはPCの前でゲームやテレビが楽しめるビデオカードで、ビデオ入出力アダプタを備えていた。RADEON 32MB DDRを搭載しており、性能も良かった

AOpen AX4GE Tubeは真空管搭載マザーボードで、音質の期待外れやSocket478マザーとしての不具合があったが、真空管が光る様子が特徴的だった

極私的パーツ名鑑⑨~⑫【自作PC史&極私的パーツ名鑑】

■ Advanced Micro Devices Athlon(Thunderbirdコア) 実売価格:26,000円前後(掲載当時)

焼鳥、コア欠けに悩まされたAthlonの第2形態

 Slot AからSocketAにフォームチェンジ、フルスピードキャッシュの統合で目覚ましいパワーアップを果たしたのがこのThunderbird。強烈コスパで自作市場を席巻し「雷鳥」と呼ばれて親しまれたが、同時に「焼鳥」なる言葉も。と言うのも、このThunderbirdはヒートスプレッダがなく、コア(半導体のダイ)がむき出し。今からは信じられないことだが、過熱に対する保護機能が搭載されておらず、CPUクーラーの装着が少しでも甘いと電源投入直後にコゲたようなにおいとともに爆死したのだ。ダイの端が欠けて使用不能になる「コア欠け」も悩みの種だった。

どこの編集部でも似たような話があったとか

 このダイが意外に脆く、ちょっとした接触で欠けてしまい、使えなくなった。そして、簡単に焼けた。当時、競合誌の編集者であった筆者も何度かやらかしており、グリスの効能と重要性、CPUクーラーの望ましい装着方法を教えてくれた存在。

[TEXT:鈴木雅暢]

■ ATI ALL-IN-WONDER RADEON 実売価格:40,000円前後(AKIBA PC Hotline!掲載当時)

PCの前でゲームもテレビも楽しめる充実感

 2000年当時、筆者は夜な夜なPCの前でFPSのオンライン対戦(主にゴーストリコン)やMSN Messengerでのチャットに明け暮れていた。自宅ではほとんどPCの前で過ごすだけに、このままテレビも見られたら最高だと思っていたところに登場したのが、テレビチューナーを備えるビデオカード「ALL-IN-WONDER RADEON」で即購入。専用ソフトで“ながら見”が楽しめたのが最高だった。ビデオ入出力アダプタが付属しており、ビデオテープのデジタル化がお手軽にできたのも素晴らしい。2002年発売の「ALL-IN-WONDER RADEON 8500」も購入した。

最新GPU採用で性能も十分

 GPUには当時最上位だった「RADEON 32MB DDR」が搭載されており、ゲームをプレイするには十分な性能があった。この小さなファンで冷却できていた頃が懐かしい。

[TEXT:芹澤正芳]

■ AOpen AX4GE Tube 実売価格:24,000円前後(掲載当時)

ダメダメだったけど心に残っている真空管搭載マザー

 今回筆者が取り上げたマザーボードでは唯一それほどヒットしていない製品だ。だが、オーディオ好きの筆者には「真空管アンプ搭載」という点がぶっ刺さった。当時、いち早く入手した記憶がある。ただし、音は期待外れで、何か普通と少し違うかも、そんな程度だったと記憶している。当時、まわりの人たちと「でも真空管が光っているのがいいよね」とか言ってた記憶もあるので、たぶんそうだ。ちなみに、Socket478マザーなのだが、不良率が高く、筆者が入手した4枚のうち3枚は不良品で何かと苦労が多かった。

“映え”パーツの元祖と言えなくもない?

 電源が入ると、写真のように真空管がほのかに光る。当時、真空管を高価なものに交換して音質を上げようとして、「ムダな行為にもほどがある」とオーディオの師匠に止められた記憶がよみがえる……

[TEXT:滝 伸次]

■ AOpen i855GMEm-LFS 実売価格:30,000円前後(AKIBA PC Hotline!掲載当時)

MoDTの先駆者でありAOpen後期の一品

 AOpenと言えば声優の音声を用いたマザーボードが語り継がれるところだが、筆者はこの「i855GMEm-LFS」を推そう。00年代半ば、Pentium 4(NetBurstの系統)の時代もCPUはHOTだった。より省電力、より高性能、静かなPCを求める声から生まれたのが当時のモバイル向けCPU「Pentium M」をデスクトップで利用可能にするマザーボード、同時期に「MoDT」(Mobile on Desktop)という言葉も生まれた。本製品をはじめとするMoDTマザーボードは、APG/PCIの拡張スロットも搭載。幅広いニーズをカバーできるのが魅力だった。

CPUには発熱の少ないPentium Mを利用

 アーキテクチャの系譜的には現在のCoreの祖先。(アーキテクチャは同じだが)現在もモバイル向けCPUを搭載した小型PCブームもあるように歴史は繰り返されるものなのか!?

[TEXT:石川ひさよし]

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