もはやテレビや映画も「AI」が支配…? オワコンによる「TikTok大作戦」の行く末

AI要約

コンテンツ視聴において、ソーシャルメディアが主流となりつつある中、TikTokにはプロのコンテンツが増えてきている。

テレビや映画などの生き残り戦略として、TikTokでもプロのコンテンツが注目を浴びている。

これにより、ユーザーの体験がよりパーソナライズされ、コンテンツの質が向上している。

もはやテレビや映画も「AI」が支配…? オワコンによる「TikTok大作戦」の行く末

 コンテンツ視聴において、メイン媒体をTikTokやYouTubeなどのソーシャルメディアにして、テレビや映画をサブとする人が増えてきた。こうした中、素人的な動画コンテンツが大半を占めていたTikTokにおいて、テレビや映画、音楽といったプロによるコンテンツが侵食し始めている。日本でも「ショートドラマ」が人気を博し、たとえば日テレが参入するなど、多くの企業やクリエイターから注目を浴びている。これらは、苦境を迎えたテレビや映画などの生き残り戦略と言える。本稿では、これらの最新動向に迫るとともに、その行く末について考察する。

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 従来の典型的なTikTokのコンテンツと言えば、アマチュアユーザーや、企業スポンサーのついたインフルエンサーが短い時間で楽しめるよう作成した「ダンス・踊ってみた系」をはじめ、「ビューティー・ファッション系」や、「ハウツー・知識系」、「もふもふ動物系」、「グルメ系」、YouTubeから借用した「切り抜き解説系」など、素人的な動画が大半を占めていた。

 だが、世界の月間アクティブユーザー数10億人以上、米国だけでも1億2150万人(4月現在)、米成人の1日利用時間平均56分間のTikTokのプラットフォームを、テレビ・映画・音楽のコンテンツ企業が放っておくわけがない。

 事実、TikTokでは、テレビやムービーシアター、ミュージックアプリ向けなどに製作されたコンテンツが、従来のアマチュア動画を徐々に「侵食」し始めている。たとえばTikTokは、米著名歌手テイラー・スウィフトのコンサート「Eras Tour 2024」とタイアップしたコンテンツページを、6月に立ち上げた。

 夏季の11週間にわたり、#TSTheErasTourをクリックすれば、各地で行われたコンサート公演のハイライト動画を「ここだけ」で視聴できるほか、ファンにとって魅力的に写るデジタルアクセサリーがもらえる。さらに公演の曲目をクリックすることで、テイラーのミュージックビデオ再生へ飛ぶことも可能だ。

 TikTok体験がその一部において、テレビの特徴である「プロが作ったコンテンツ」「一斉同報性と同時体験」に置き換わりつつあることを象徴する動きだ。これは、ユーザーの趣味や嗜好により細分化・分断化されたアマチュアのコンテンツを、パーソナライズされたアルゴリズムでおススメ視聴するという、従来のTikTokの路線の変質を意味する。