NTTソノリティのフラッグシップモデル「nwm ONE」発表、音漏れ抑制と低音域の表現を両立させた開放型スピーカー

AI要約

NTTソノリティが新型オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー「nwm ONE」を発表、発売した。PSZ技術により周囲への音漏れを抑制し、イヤホン型スピーカーとして新たな市場に挑む。

耳の圧迫感や周囲の音をシャットアウトする課題に対応し、オンライン会議などバーチャルな生活に適した製品。新たなライフスタイルに合わせた技術開発に注力している。

「nwm ONE」は大型ドライバーを搭載し、音質と音漏れ抑制を両立させる。PSZ技術やマジックフォーカスボイスなど革新的な機能を備えたフラッグシップモデルであり、海外展開も視野に入れている。

NTTソノリティのフラッグシップモデル「nwm ONE」発表、音漏れ抑制と低音域の表現を両立させた開放型スピーカー

 NTTソノリティは18日、オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー「nwm ONE」を発表、発売した。実勢価格は3万9800円前後。ヘッドホンのようにかけて聴くスタイルで、耳を覆う部分はオープン型の一方、同社独自のPSZ技術で周囲への音漏れがほとんど感じられない程度まで軽減されている。

 同社では、これまでもPSZ技術を使ったイヤホン型スピーカーを開発、発売してきており、今回は初めてのヘッドホン型のスピーカーとなる。あらためて、ヘッドホン型、大型化した意義や、市場環境はどのようになっているのか?

■ 自分と相手の音質を改善する2つの技術

 NTTソノリティ 代表取締役社長の坂井博氏は、新型コロナウイルスによりユーザーの生活環境が変化してきたことを挙げ、オンライン会議の増加やおうち時間の充実化、オンライン授業の活用など「バーチャルに繋がるライフスタイル」が当たり前になったと指摘。そのなかで、イヤホンが必需品となり、装着時間も延びたことで「耳の圧迫による疲労感」や「一緒にいる人の会話や生活音が聞こえなくなる」など、リアルを遮断することによる課題が生まれたという。

 これらの課題の解消や時代の変化に合わせて、同社では2020年11月に音響ブランド「nwm」を設立し、周囲の音漏れを最小限に抑えつつ、長時間の着用でも疲れにくいイヤホン型スピーカーを開発。耳の近くに置かれたスピーカーから音が流れているような感覚で、「耳スピ」という愛称もつけたと話す。

 また、オンライン会議で自分の声を相手にクリアに届けられるよう、周囲のノイズをカットする技術「マジックフォーカスボイス」も開発。これは、音が2つのマイクに到達する時間差を利用して音響空間を認識し、話者を特定するビームフォーミングとノイズを分離させるスペクトルフィルターをハイブリッドに処理することで、必要な音だけをクリアに取り出す技術だという。

 坂井氏は、これらの技術を「自分が聞いている音の音質改善だけでなく、会話している相手の音質にも気を配る。まさに次世代に受け入れられる技術だ」とコメントし、同社技術への自信をのぞかせる。

■ 国内外で成長が期待されるオープンイヤー型

 オープンイヤー型のイヤホンの国内市場について坂井氏によると、2023年6月→2024年6月の1年間で前年比+100%だといい、今後の成長が見込まれているという。また、海外での年平均成長率も+8.34%となっており、2030年の市場規模は6785億円に達するという予想もある。

 同社では、2023年から米国での販売を行っているが、坂井氏は「コロナによる需要拡大と耳にまつわる課題は共通の課題」という認識だといい、今後はより海外市場へのアプローチを強化するとコメント。米国だけでなく、ドイツや中国市場にも今年度中に進出し、今回発表の「nwm ONE」を含めてさまざまなタイプの製品を積極的に展開するとしている。

■ 大型ドライバー採用の「nwm ONE」

 今回発表の「nwm ONE」について坂井氏は「(同社の)技術を集結した画期的なフラッグシップモデル」とコメント。「国内外で市場が伸びていて各社しのぎを削っている状況だが、世界に誇れる技術力を武器に『nwm』ブランドを世界規模に育てていきたい」と、「nwm ONE」への期待感を口にする。

 「nwm ONE」では、オープンイヤー型の課題であった「音質」の改善がなされていると良い、音質と音漏れ抑制の両立が図られたスピーカーに仕上がっている。キャッチコピーを「今こそ、ミュートを解こう。」とし、周囲の音を遮断するのではなく、音を一緒に楽しむ世界を提供していきたいと坂井氏は説明。「真の意味でのオープン型を実現したオーバーヘッドタイプ。圧倒的な開放感が生む新世代のサウンド体験と心地よい軽い装着感」と大型ドライバーの搭載で、「スピーカーのような広がりを感じる高音質サウンドを実現した」(坂井氏)。

 外観は「機能美を追求した」といい、同社やブランドのロゴはなく、デザインの統一感を与えながらも、耳周りが解放されている驚きはあるものの違和感がないデザインに仕上がったと坂井氏は話す。本体重量は185gで、約20時間の音楽再生をサポートし、1日中使用できる。

■ 大型スピーカーと音漏れ抑制技術

 「nwm ONE」には、高域を再生する12mmツイータードライバーと、低域を再生する35mmウーファードライバーが備わっている。これにより、広がりのある空間表現と圧倒的な再生周波数帯域を両立させた。

ただし、ドライバーの大きさと音漏れ抑制性能はトレードオフの関係にある。

坂井氏によると、同社の既存製品では12mmのドライバーを使用。普段使いしやすい音質とサイズ、音漏れ抑制性能をバランス良く実現できていたものの、低域の再現性が低かった。

研究開発を進めるなかで「ドライバーを大きくすると音が漏れやすい」ことはわかっていた。そこで、今回、低域を再現する大型ドライバーを採用した。そのままでは音が漏れやすくなるが、さらに帯域を分割することにした。これにより、広い再生帯域と高い音漏れ抑制性能を両立できた。

 それぞれのドライバーは別々のアンプで駆動しており、それぞれDSP処理を施すことで、大音量でも歪みがない音を表現できたとしている。

 音質へのこだわりは、外観デザインにも現れており、スピーカー部を覆っているステンレス素材には、低域側と高域側でパターンを変えた微細な穴を開けており、見た目だけでなく音響面でも最適な結果が得られるようになっている。また、ユーザーの耳の角度に合わせてドライバーが回転できるような構造としている。

 また、フラッグシップモデルにふさわしく、音漏れを抑制するPSZ技術と相手にクリアな声を届けるマジックフォーカスボイスの両方を備えているほか、BluetoothとUSBオーディオに対応。Bluetooth LE AudioやAuracast、マルチポイント接続、360 Reality Audio、パラメトリックイコライザー機能を搭載する。

■ 磯村勇斗、長岡亮介、秋元梢が体験

 発表会の後半には、俳優の磯村勇斗、音楽家の長岡亮介、ファッションモデルの秋元梢が登場。磯村から製品の実機が紹介された後、実際に3人が「nwm ONE」を体験した。

 秋元は「nwm ONE」のデザインや付け心地について「シンプルにしていくと物足りなく感じることがあるが、『nwm ONE』はそういったことがない。大きいピアスを付けたまま装着しても全く違和感がなく付けられて、ファッションを楽しみたい方にも使える」とコメント。頭や髪の毛を圧迫しがちだったこれまでのヘッドホンから、一線を画したスピーカーになっているとした。

■ 写真で見る「nwm ONE」

 発表会では、実際に「nwm ONE」を触ることができた。

 大きさは約160×185×88.5mmで、重さは約185g。大口径ドライバーを搭載しつつ、耳の覆う部分が開放され、大きさを感じさせないデザインとなっている。

 実際に装着してみると、軽さを実感できる。頭頂部と耳周りの部分にはクッション素材が用いられており、高いフィット感を得られる。

 また、オープン型のため、眼鏡を掛けたまま「nwm ONE」を装着しても耳の周辺は圧迫されず、痛くなりにくい。軽さも相まって、強い締め付けがない製品ながら、フィット感が維持されていた。

 先述のように、本体にはロゴなどの印字はなく、裏側に右側左側がわかるよう「L」と「R」の印字がある程度。その印字も凹凸による印字であるため、非常にシンプルでファッションを楽しむユーザーにも合わせやすいデザインに仕上げられている。

 本体には、スピーカーとPSZ技術による音漏れ抑制スピーカー、マイクが備えられている。コントロールボタン、音量ボタン、USB Type-C端子は左耳側にある。