急成長中の「Notion」と「Asana」、タスク・プロジェクト管理ツールとしての実力は?

AI要約

NotionとAsanaの機能比較セミナーが開催された。

Notionはオールインワンツールであり、データベース機能が特徴的。

Asanaはシンプルな設計で使いやすく、大規模プロジェクト向けの機能も豊富。

急成長中の「Notion」と「Asana」、タスク・プロジェクト管理ツールとしての実力は?

ネクストモードは、「Notion×Asana機能比較セミナー タスク・プロジェクト管理に最適なツールはどっち?」と題したオンラインセミナーを開催。タスク・プロジェクト管理ツールとしての特徴や、どのような用途や企業に向いているのかが解説された。

 ネクストモードは、2024年6月27日、「Notion×Asana機能比較セミナー タスク・プロジェクト管理に最適なツールはどっち?」と題したオンラインセミナーを開催した。

 

 ノートやWiki、データベース、そしてタスク・プロジェクト管理にも利用できるオールインワンツールである「Notion」。チームでタスク・プロジェクトを一元管理できるよう設計された仕事管理ツールである「Asana」。両ツールともに、グローバルだけではなく、日本企業においても急速に導入が進んでいる。

 

 セミナーでは、ネクストモードに所属する両ツールのエキスパートから、タスク・プロジェクト管理ツールとしての特徴や、どのような用途や企業に向いているのかが解説された。

 

データベースで柔軟に管理、あらゆる情報を集約して有機的に連携できる「Notion」

 Notionは、情報・業務・人をつなぐ「コネクテッドワークスペースツール」であり、その豊富な機能の中に、“業務”であるタスク・プロジェクトをつなぐ機能も含まれる。

 

 Notionのセールスエンジニアを務める南栄樹氏は、「企業のアプリの利用が増えて、情報がサイロ化されたり、ツールが連携しづらくなっている中で、様々なユースケースに適用できるのがNotionの強み」と説明する。

 

 タスク・プロジェクト管理、あるいはNotion自体の要となるのが、「データベース」の機能だ。各アイテム(タスク)に対して属性(プロパティ)を付与でき、タスク管理においては、ステータスや担当者、期限、優先度などの属性を持たせて、キーとなる情報を可視化したりや整理するのに役立つ。

 

 また、それぞれのタスクには、通常のNotionのページと同様、フリーフォーマットで様々なコンテンツを配置できる。「各タスクで共通した情報はプロパティで管理して、タスク固有の情報はページ内に記載するといった形で、どんな情報でも柔軟に整理できる」と南氏。

 

 データベースのリレーション機能で、データベース同士をつなぎ、複雑な情報管理をすることも可能だ。プロジェクト用とタスク用のデータベースを紐づけ、タスクの完了率にあわせて進捗率を表示することなどができる。 

 

 また、各データベースは、プロパティをキーに表示方法を変えることもできる。例えば、担当者がアサインされていないタスクや期限切れのタスク、プライオリティの高いタスクなど、日々の業務の中でよく見る条件でビューを作成しておくと、タスク管理がしやすくなる。データベース自体の表示方法も、カレンダー形式やガントチャート形式、ボード(カンバン)形式など柔軟に切り替えられる。

 

 さらには、タスクだけではなく、共有事項やナレッジ、メンバーの詳細など、周辺情報も整理できるのはNotionならでは。様々な情報を集約して有機的に管理できるのがNotionの強みだといえるだろう。

 

シンプルな設計ですぐ使える、大規模プロジェクト向けの機能も豊富な「Asana」

 一方のAsanaは、タスク・プロジェクト管理に特化した設計で、シンプルなUIを備え、誰でも迷わず使い始められるのが特徴だ。

 

 まずメンバーとしての個人のタスク管理では、「マイタスク」に割り当てられたタスクが一覧表示される。タスクは、「最近の割り当て」以外にも、期日やプロジェクト別といったセクションで区切ることができ、自由に仕分けが可能だ。タスクの表示方法も、リスト形式やカレンダー形式、ボード(カンバン)形式などに切り替えられる。

 

 ネクストモードでAsanaを担当する城内秀仁氏は、「推奨するのは、『最近の割り当て』のタスクを、期日ごとに仕分けるところから始めること。その後、“今日”に仕分けたタスクを中心に作業を進める」と説明する。

 

 また、「受信トレイ」では、タスク割り当てや自分宛のコメントといった通知が一覧で表示される。確認したらアーカイブ化して、後で見たい場合はブックマークするといった利用方法ができる。

 

 チームのメンバーとは「タスクベースでコミュニケーションをとるのがお勧め」と城内氏。特定メンバーに対してメッセージを送付する機能もあるが、タスクに紐づいてコミュニケーションの履歴が残るためだ。タスクの更新があると登録者に通知が飛ぶ、メールの同報(CC)のような機能も備えている。

 

 さらに、チームリーダーやマネージャーが、プロジェクト全体もしくはプロジェクトまたいで管理するための機能が豊富なのも、Asanaの強みだ。

 

 プロジェクト管理の画面では、Notion同様にさまざまな表示方法に切り替えられ、マイタスクと同様のリストやボードの他には、ガントチャート(ガントビュー)形式も選択できる。「ダッシュボード」機能では、プロジェクトにおけるタスクの進捗やメンバーのタスク量などが、視覚的に一目で把握できる。

 

 また、マネージャー向けの「ポートフォリオ」機能は、複数プロジェクトをまたいだタスクやメンバーの現状を把握でき、工数で管理することも可能だ。ダッシュボードと異なり、複数のプロジェクトを視覚的に俯瞰できる「レポート」機能も用意。さらに「ゴール」機能では、個人やチーム単位に加えて、会社全体の目標を立てて、プロジェクトの進捗と紐づけることができる。

 

結局どっちのツールを使うべきか? 両ツールを併用するユースケースは?

 Notionは一言でいうと「色々できるオールインワンツール」と南氏。タスク・プロジェクト管理だけではなく、ドキュメントやナレッジ管理など幅広いユースケースに適用できる。また、柔軟性が高い一方で、できることが多過ぎて、慣れるまでに時間を要するという側面もある。「ただ、ユースケースに合わせたテンプレートが用意されているので、学習コストもそこまで懸念することはない」と南氏。

 

 これらのポイントから、Notionは、タスク・プロジェクト以外の情報も管理したい企業向けと言えるだろう。業務に合わせてカスタマイズしたいという需要にも応える。

 

 一方のAsanaは、「タスク管理機能をベースにしたワークマネジメントツール」だと城内氏。あくまでタスク管理を中心に据えて、そこから派生した機能を取り揃える。この設計思想により、シンプルで使いやすいのが強みだ。また、複数プロジェクトをまたぐ、大規模な運用向けの機能も充実している。

 

 これらの特徴から、Asanaは、シンプルにタスク・プロジェクト管理に特化したツールを検討している企業、特に大規模プロジェクトを運用予定の企業に合ったツールと言えよう。

 

 それでは、NotionとAsana、両方を併用するユースケースはあるのだろうか。ネクストモード自身を含めて、実際に両ツールを活用する企業は2つのパターンに分かれるという。

 

 ひとつは、タスク・プロジェクト管理はAsanaで、ドキュメント・ナレッジ管理はNotionでという、管理領域を切り分けての利用方法。もうひとつは、タスク・プロジェクトの特色や傾向に応じてその都度使い分ける方法で、ネクストモードはこちらの利用方法だ。

 

 例えば、Notionでは、新企画の立ち上げなど明確なタスク化がしづらいプロジェクトや、アイディアを出し合いながらタスクを起こすプロジェクトで利用する。自由度が高く、ディスカッションとタスク管理をシームレスに進められるという強みを活かす形だ。

 

 一方のAsanaは、フローが確立されているタスクでの使い勝手が良く、見積や契約処理などのタスク管理で活用する。また、チームリーダー・マネージャー向けの機能が充実しているため、全体を俯瞰しなければいけないプロジェクトや、“報・連・相”が多いプロジェクトに利用する、といった使い分けだ。

 

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp